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Young & Beautiful (火影祭2013参加作品) [捧げ物]

 

対オフィシャルサイト様の火影祭2013に投稿させていただいたものです。

穢土転生の術考案の元を妄想しました。
全然ラブくありません。
コハルスキーさんがいらっしゃいましたら、どうぞ~。

 

あけましておめでとうございます。

新しい年が平和で喜びに満ちたものでありますように…

皆様の健康と幸せをお祈り申し上げます。

 

さて、すっかりご無沙汰している日々が続いています。
更新どころか、PC触らない日も多くなりました。
当サイトを開設して7年目になり、子供は成長し親は年老いました。
更新できないことを環境の所為にしてきたかもしれません。
私自身、想いを綴ることに以前ほどの熱を持てなくなったのは否めません。
往生際悪く閉鎖しないのは、やっぱり木の葉の素敵忍が大好きだから。
そんな訳で今年もずるずると続けるのでしょう。
ウチのイルカ先生が貴女を癒すことができれば幸甚です。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

  お題  クールな情熱家、二代目扉間


            ― Young and Beautiful ー

 

「先生?」

己の寝言で目を覚ました。
あの声で「コハル」と呼ばれた気がしたから。

夜明け前の寝室には、柱時計の振り子の音だけが響く。
眠りが浅くなって、もう何年になるだろう?
が刻まれた頬を涙が伝う。
コハルは横を向いて、枕を濡らすに任せる。
皆、逝ってしまった。
コハルをやさしく包み込み、時には厳しく指導してくれたひとたち。
自分をカワイイと言ってくれたひとたち。
若くも美しくもなくなってしまった自分を、可愛がってくれる大人はいない。
コハルは細く息を吐くと、もう一度眠りに落ちることにした。

 

「また、あの夢だ」と、夢を見ながらコハルは思う。

霧深い野営地で、小隊の部下が寝静まる頃、結界を張った先生は
その向こう側で、天幕の準備をしていた。
コハルだけがまだ眠っていない事を知っていても、
先生は気づいていない振りをして作業を続けていた。
そのあと、先生は巻物を広げる。
敵忍の亡骸を口寄せするためだ。
天幕の中で先生がもう一度結界を張る気配を感じながら、コハルはぎゅっと目を瞑った。
 大好きな先生。
 天幕の中で何をしているの?
 結界を二重にしなければならないことを、しているの?

野営の夜が明けると、先生はコハルの頭に手を置いて言ったものだ。
「おまえは、本当にカワイイよいこじゃなあ」
先生がホントにそう思っているのか、それとも、あのことを他言しない事を褒めているのか。
いずれにせよ、コハルは先生にそう言われるのが好きだった。
だから、先生のことを大好きで先生のことを何でも知りたがったコハルでも、
詮索することはなかった。
朝の声が少し掠れていても、首の付け根に赤い痣が出来ていても、
心配はしてもその理由を尋ねはしなかった。
もちろん、当時は想像も出来なかった。
それでも、それがなんだか善くない事だとまだ若いコハルは感じ取っていた。
すべてを理解したのは、コハルが大人になってからだ。

浅い夢の中で、誰かがコハルの名を呼んでいる。

 

「コハル様、コハル様、朝餉が冷めてしまいます」
跪く女中の影が障子に浮かび上がる。
「そう急かすな。起きておるわ」
布団の中から、返事をしたコハルは小さくなった体を伸ばす。
身支度を整えて、紅を引くと鏡の中の自分ににっこり笑いかけて言った。
「うん、ワシ、今日もカワイイ~」


朝食を終えて、お茶を飲んでいるコハルの元に伝令が来た。
女中がそれを読み上げる。
「西の森で遺体を発見。トラップによる毒霧で死亡とみられる。
遺体は30代及び20代と10代の男3名。生き残りがいないか現在捜査中」
「トラップにやられるなんざ、三流の盗賊じゃな」
湯呑に口をつけるコハルの口角が上がる。
「どれ、暇潰しにどんな輩か拝みに行くか」

 


遺体置き場に着いたコハルは人払いをすると、懐から巻物を取り出した。
30代の男の遺体を封印し、印を組んで瞬身で深い森へ飛んだ。
結界を張り、印籠から一房の銀髪を取り出して、術を繰り出す。
ここまでの流れは老女とは思えないくらいの早業だ。

「穢土転生!」

棺桶から、二代目火影扉間が姿を現した。
「先生! 先生、会いたかった~!」
コハルは扉間の腰に腕を回すとぎゅうぎゅうしがみついた。
扉間はフンと鼻先で笑ったものの、情熱的にコハルを抱きしめてやる。
「あのね、先生」
コハルは新しい女中が気が利かないことを扉間に愚痴りだした。
扉間は切り株に腰を下ろし、コハルの話を聞き流す。
コハルが本当に話したいことはそんなことではないのを知っているから。
「まったく、そんなだから最近の若い者には困るわ」
「…そうか」
扉間の気のない返事も、コハルは嬉しかった。
こんな歪んだ形でも大好きな先生に会えることが喜びだった。
「で、例の件はどうなったんだ?」
「先生の言う通りだった。あんな条約、反故にしてよかったわ」
扉間はフンと鼻で笑った。
里のご意見番と謂われるコハル。
他国との駆け引きで迷うとき、こうして扉間の意見を聞いたことが数度ある。
それはいつも正しかった。


カサカサと枯葉が舞う。
コハルは頭上の木漏れ日を仰ぎ見た。
絶対に忘れないと心に誓う。
先生のものの見方、考え方、伝え方。
これを後進に伝えなければ。
だけど、今だけ。
今だけはまだ先生の教え子でいさせて。
最後だから、とびきり、甘えさせて。


「先生、私、またあの夢を見たわ」
扉間は低く呻いて頭を振った。
「わかってる。誰にも言っていないし、言う気もないわ。
先生が初代様に会いたくてこの術を考えたってことも
私たちの目を盗んでしてたことのことも」
コハルは子供のように目を輝かせて扉間をみつめた。
「だって、あれは私たちだけの秘密だもん。ね?」
嗚呼と扉間は唸った。
もう、唸るしかなかった。

冥土に旅立って何十年になるだろう。
未だにこのお転婆は自分を強請る。
新しい遺体が手に入ると、術で生き返らされる。
堪ったもんじゃない。
「コハル、もうこれっきりにしてくれないか?」
とうとう、扉間はコハルにそう告げた。
コハルは性悪そうにニヤリと笑い首を横に振る。
「いやよ」
「なんだと?」
怒った顔をする扉間に、コハルは少女のようにくるりと背を向けた。
泣かせてしまったのだろうかと扉間は少し心配になる。
「す、拗ねたってダメだぞ」
「先生、先生はずるいわ」
「ワシが?ずるいと?ずるいのはどっちだ?」
「だって、先生はちっとも年を取らないもの!」
忍は短命だと、コハルはそう思っていた。
若くて美しいうちに冥土へ旅立つものと思っていた。
きっと、今の自分は長生きできて幸せなのだと思う。
それでも、昔のままの若々しい先生を見ると、嫉妬にも似た感情が湧き上がる。
「私、もう、おばあちゃんになっちゃった」
「…コハル」
扉間は遠い昔のようにコハルの頭に手を置いた。
「それはおまえが生きてきた証じゃないか。俺たちの時代では考えられないことだ」
「…そうね」
「立派に後進の指導にあたっているじゃないか。それにいくら齢を重ねようが、
おまえは俺にとってはカワイイ教え子だ。いつまでもカワイイよいこじゃ」
「先生…」
振り向いたコハルは扉間を見上げた。
「もう一度、いえ、何度も言って。カワイイって」
扉間は小さな老婆の肩に両手を置いて、つぶらな瞳を覗きこんだ。
「コハルはカワイイ。カワイイカワイイ。コハルはずーっとカワイイよ」
コハルは涙を滲ませて扉間をじっと見つめた。
知っている。
わかっていた。
先生は私がどんなに若さと美しさを失ってもそういってくれることを。
もういい。
もう、充分だ。
先生はなんてやさしいんだろう。
「ありがと、先生」
コハルは胸の前で印を結んで、術を解いた。

 

何事もなかったような顔をして遺体置き場から立ち去るコハルに、
木枯らしが吹きつける。
遺髪を入れていた印籠は空になってしまった。
先生にはもう会えない。
喪失感で足が萎えそうになったとき、背後から好い声が聞こえた。

「コハル様、お帰りならお送りしましょうか?」
「ゲンマ~、久しぶりじゃの~」
振り向いたコハルに、ゲンマが千本を上下させながらほほえみかけた。
まだ若く美しいゲンマはコハルのお気に入りだ。
晩秋の青空をバックに立つゲンマは里一番の色男だろう。
ゲンマから青空に視線を移し、コハルは思う。
そうだ、若いひとたちを可愛がろう。
先生がしてくれたように、カワイイカワイイと言って力づけてやろう。
大丈夫 先生 見ててね 私 まだ頑張る
「コハル様、どうなさいました?」
コハルは微笑みながら首を横に振った。
前を歩くゲンマの引き締まった臀部を眺めて、これもまた愉しみだと思う。

空気が乾燥してきた。
家に帰ったら、急いで保湿しなくっちゃ。
そして、鏡の前で、いつものように先生の替りに言うのだ。

「うん、ワシ、カワイイ~」

 

 

夏に旦那と観に行った華麗なるギャツビーサントラより
 

        


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