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無精 [SS]

本日の妄想:イルカ先生は常にマメってことなどなく、無精もする。

リラックスモードのイルカ先生も好物ですv
休日のインドアイルカを久々のイルカ視点でどーぞ♪

 

             ― 無精 ―

半開きのカーテンの隙間から、力のない光がうっすらと差し込む。
暦の上では春なのに冬みたいな曇天。
普段出来ない大物を洗濯したところで乾きゃしねえ。
久々の休みだっていうのに。
彼女とは会えねえし。
こうなりゃ、今日はなんにもしねえぞ。
徹底的に休んでやる。

そうと決まれば、居間へ布団を引張って来て、
読み損ねていた本や、「泣けるぞ」とコテツか貸してくれたビデオを回りに置いてみる。
湯を沸かしてポットに入れて、インスタントコーヒーとマグカップと共にトレイに乗せる。
何もしなくても腹は減るから、カップ麺の買い置きとビスケットも居間に持っていく。

寝巻き代わりのスウエット姿で、髪も括らず髭も剃らない。
自分で言うのも何だけど、汚ねえ恰好。
でも構わない。
誰も訪ねて来ないだろうし、今日はだらだら過ごすんだから。

ビデオを観て、コテツが言った通り、鼻水が出るほど泣いた。
泣いたら腹が減ったから、カップ麺を啜った。
そしたら、また鼻水が出て、トレイの上はたちまちティッシュの山になった。
その山を固めてゴミ箱に投げ捨てる。
狙い通りに一発で入ったから、小さくガッツポーズを取ったけれど、
笑い合える相手もいないことに一抹の侘しさを感じた。

コーヒーを淹れた。
ふうふうしながら、湯気の向こうに彼女が居たらなあなんて思う。
ビスケットをかじりながら半分ほど飲んで、随分前に買って読んでいない本の表紙を捲る。
時間のことなど気にせずに読める機会なんて、大人になると無いに等しい。
だから、オレはチャンスがあれば読みたい本に没頭し、文字と言葉の波を漂う。
現実から離れて物語の中に飛び込み、その心地好さにただただ溺れる。
読み終えると、大の字に寝転がって、しばらくは本の世界の余韻に浸る。
そしてゆっくり伸びをしながら欠伸をすると、現実世界に戻って来る。
本を読むこと愛し合うことは似ているのかも知れない なんて柄にもなくそう思う。

本を読み終えたはいいけど、横になって暫くすると眠っちまったようだ。
己の鼾で目が覚めたんだから笑えねえ。
鼾をかくなんて、父ちゃんの厭なとこが似ちまったな。
でっかいくしゃみといい、鼾といい、オヤジ丸出しじゃないか。
ああ、笑えねえ…。

それからまたコーヒーを淹れてビスケットをかじりながら
TVを観たりぼんやりして、時を浪費する。
今日はぜってーなんにもしねえって決めたから。
なのに、外の薄暗さが増す頃にはカラダがウズウズしてきて、
気がつけば腹筋したり片手腕立てしたりしちまってる。
オレはガイさんか?

もう晩飯時か?
また転寝していたようで、首を巡らせて時計を見ると8時前だった。
一楽、行こうかな。
と 思っていたら、ドアがノックされたので、「はい」と言いながらドアを開ける。
驚いた。
今夜訪れるはずの無い人物が居たのだから。

「お、おかえり」
「ただいま。 任務、半日も早く終われたの」
にっこり微笑む彼女に狼狽する。
ボサボサの髪 剃ってない髭 スウェットにはビスケットのカス ― 情けねえ。
「そっか、よかった。 おつかれ」
わざわざ寄ってくれたんだから、もっと他に言うことあるだろうに
ありきたりの労いの言葉しか思いつかない。
「…上がる? 散らかってるけど」
「ん、お邪魔しまーす」
彼女がサンダルを脱いでいる間に急いで片付けなければ。
カップ麺やビスケットのゴミをかき集めて、布団を寝室へ運ぶ。

「イルカさん、今日一日、悠っくり出来たみたいね?」
「うん。 ゆっくりしたよ」
彼女がオレをじっとみつめる。
茶を淹れる手がぎこちない。
なんだろう?
この居心地の悪さは?
「ごめんな、汚ねえ恰好だろ? 漢の独り暮らしなんてこんなもんさ」
オレは慌てて髪を縛る。
「うふっ、なんかね、新鮮」
彼女はいただきますをして、オレが淹れた茶を飲む。
その頬が赤く見えるのは、外が寒かった所為か?
「普段のイルカさんと違って、ワイルドでセクシーでとっても素敵」
彼女の瞳がハート型に見えたのは気の所為か?

「ねえ、今日は何をして過ごしたの?」
「本、読んで、昼寝して。 あ、ビデオも観たよ」
彼女の視線がゴミ箱に注がれる。
「えっ? あ、違う、違うぞ! アレはビデオ観て泣いて鼻をかんだから!」
オレはビデオの背表紙を見せる。
「ふーん」
彼女の眼が細まる。
「コレ観て泣かない奴はいねえだろ? 泣けるぞってコテツが貸してくれたんだぜ。
それに、本だって、コレ読んだんだからな! 何ヶ月も前に買ってて読めなかったやつ」
「へえー」
「本当だからな。 めっちゃ泣いたんだからな」
オレってば、何故こんなに必死で言い訳してるんだろ?
彼女は肩で大きく息を吐くと立ち上がり、玄関の方へ向いた。
「…帰るのか?」
ううんと言って振り返った彼女は笑っていた。
「晩御飯、まだでしょ? 一楽、付き合うわ」
「じゃ、ちょっと待っててくれ。着替えてくるから」
寝室に向かうオレの背中を彼女の声が追いかけて来る。
「髭、剃ってね!」


一楽からの帰り道、彼女がうふふと笑う。
「お休みの日の無防備なイルカさんに会えるは、私だけだといいな。
無精髭は他の誰にも見せないでね」

ああ、なんだかなあ。
そんな遠まわしの告白聞かされて、今夜、オレはどうすりゃいいのさ?

 


コメント(2) 

コメント 2

ねね



ケイさん こんにちは♪
ご来訪とコメントをありがとうございますv

ナイスなアドバイスをありがとうございます!
イルカ先生もきっとそうすることでしょう(笑)
普段きちんとしている人のだらけた姿が格好良く見えるか悪く見えるか
それはその人の内面が滲み出ると思います。
「建設的ななにもしない」…やってみたいっ!!
私、貧乏性だから、仕事が休みの日は普段出来ない事をやりまくるから
休みの日の方が疲れ果ててしまうという情けない事になっています。
ビスケット♪
時々食べたくなるんですよね~(笑)
クッキーじゃなくて、あえてビスケット。
オトコの独り暮らしだから、イルカ先生には朝からビールを呑まそうかと考えましたが、あまりの心地好さにオハラチョースケさんみたいになりそうなのを自覚していて、朝寝朝酒朝湯はヒロインさんとの温泉旅行のときだけと決めている根っからの真面目漢イルカに拒絶されてしまいましたとさ(笑)

あっという間に3学期も終わりに近づいていますね。
もうすぐ春休み…また昼ごはんが;;
なかなか暖かくなりませんが、どうぞお元気でお過ごしくださいねvv


by ねね (2012-03-13 16:27) 

ねね



金鳳花さん こんにちは♪
ご来訪とコメントをありがとうございますv

レスが遅れてすみません!
PC、やっぱりダメでね、買い替えたんです~。
イルカ先生の誕生日に♪
で、そのついでに接続変えて携帯会社も変えてで、セットアップやなんやかんやで、いっぱいいっぱいでした;
もう、トシ取ると、新しいことを覚えられないので困りますわ;
wi-maxと無線LANの違いが今日わかったというこの情けなさ;;

さて お忙しい中、駄文を読んでくださってありがとうございますv
あははww聞き間違いもありますが、読み間違いもありますよねっ!
うん、コテツは天然だよ~ん。
貸してくれた泣ける映画は「チャンプ」です(←古っ!)
色々、用意するのはイルカ先生だから。段取りマンなのだ!
お楽しみいただけたようで嬉しいです。
また、金鳳花さんちに遊びに参ります♪
明日から6月なのに朝晩は肌寒いですね。
どうぞご自愛くださいねvv


by ねね (2012-05-31 16:39) 

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