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抱擁 祝!カカシ復活記念SS [SS]

カカシ先生!おかえりなさーいっ!!

初カカシ夢vv 祝!カカシ復活記念SSです♪

諦めなくてよかった。
ああ、ホントによかった。

 

 

 

 

 

 

   

           ― 抱擁 ―

 

 

 

野戦病院と化した木ノ葉病院で、治療に当たる私の名前を誰かが呼ぶ。
ただでさえ、死んだはずの人々が次々と生き返り、辺りは騒然となっている。

「秘術が使われた模様です」
肩に乗る小さなカツユさんが教えてくれた。

なんてこと!
こんな奇跡が起こるなんて!

人々の歓声に混じる叫び声にも似たその声は、婦長の分身だった。

「急いで!はたけ上忍が搬送されて来るわ!」

傍で患者に包帯を巻いていた私の分身が、私に向かって頷く。

「ごめん、あと頼むね」


辛うじて残っているICUに向かう足が早まる。
なんだか地に足がついていない感じで、絡まって転びそうだった。


「不思議な事にダメージは少ないです。チャクラが少なくなってはいますが…」

またカツユさんが教えてくれる。

涙が溢れそうになるのを歯を喰いしばって耐える。

 

ああ、よかった…生きて還ってくれて…

心底、そう思う。

 

また、抱擁し合える。

 

 

 

ICUの入り口で搬送を待ちながら、初めてはたけ上忍を受け持ったときのことを思い出す。

あれは4年前――


波の国から還ったはたけ上忍を迎えた。
チャクラ切れでぼろぼろだった。


以前の入院時にも専属の医療忍が看護にあたったときいていたが、退職してかなり経つらしい。
里の誉れと謳われる忍者を専属で看護したい優秀な医療忍は山ほどいる。
にも拘らず、入院した翌日に婦長は私を指名した。
並み居る先輩医療忍を差し置いて新人に近い私が指名されてしまった。

正直、恐ろしかった。
ビンゴブックに載るほどの忍者だもの。
私に務まるかと不安で婦長にそういったものの一笑に付されてしまった。

「貴女が担当するとはたけ上忍のチャクラが一番安定するから、
これからは何を措いてもはたけ上忍に仕えるように」

元来医療忍の血筋だ。
独特のチャクラを持っていることに自覚もある。

「何を措いてもはたけ上忍に仕える」



その言葉だけで今日の私がある。


 

外傷はより高度な医療忍術で治療し、私は身辺の看護に集中した。
バイタルをチェックして、食事を摂らせて、チャクラを与える。
まるで母と子のように、愛情をかけて慈しむ。
外傷よりもチャクラ切れで搬送されることが多かったから、
それこそ寝る間も惜しんで、チャクラを与え続けた。

医療忍仲間が羨む仕事は、私にとっては緊張の連続だ。
「里の誉れをお世話するってどんな感じ?」
と同僚に訊かれた私は戸惑った。
「うーん、皇帝ペンギンの子育て、かな?」
なにそれー?と同僚が笑う。
だけど、それが本音だった。


 

初めて清拭したときのことを思い出す。

「お顔、拭かして戴きますね?」
「うん、頼むよ。ありがとね」


口布を外した顔を初めて見た瞬間――
これほど美しい顔をした男の人を見た事は無いと思った。
それはあまりに麗しく、神々しいほどだった。


にっこり笑うと弓なりになる、唯一露出している右目。
きっと笑顔も素敵なんだと勝手に思っていた。

「悪いね…」

髭を剃る私にまたもやにっこりと笑いかけてくれる。

 

だけど。


口布を外したはたけ上忍は、笑うのが下手だった。

 


どこか寂し気で。
どこか投げやりで。
笑う自分を演出しているように思えた。

そんなはたけ上忍が不憫でならなかった。
まともに笑うことも出来ないのは、天才忍者だからこそなのかもしれないけれど。
笑えないなんて…
笑えるのは人間だけなのに。

 

白磁のように美しい皮膚を熱いタオルで拭きながら、鼻の奥がつんと痛くなったのを覚えている。
その美しい鍛え抜かれた肉体の上を走る無数の疵が涙でぼやけて、一層多く見えたことも覚えている。


「この人に普通に笑ってもらいたい」

この日私は「はたけカカシを笑わそうプロジェクト」を独りでこっそり立ち上げた。
陽の気を振りまいて、明るい色の花をかざって、面白い歌を歌いながら看護にあたった。


「キミって面白いね。一緒に居ると楽しいだろうな」

はたけ上忍がシーツを取り替える私をじっと見つめてそう呟く。

 

チャクラを与えると、相手のチャクラもこちらへ少し入ってくる。
はたけ上忍のチャクラは鋭利な刃物のようだ。
情けない事に、その度にぎくりと身体が硬直する。
すると、長い腕がそっと私に回される。

「ごめんね。キツイよね」
そう言いながら、抱擁される。
「だっ、大丈夫です」
「もし…」
はたけ上忍は遠慮気味に申し出る。
「もしよかったら、このままでいて。少しでいいから」
私は返事ができない。
乱れるチャクラを安定させようと集中するしかない。

 

束の間の抱擁。

それは甘美なひとときであると共に、医療忍にとっては禁忌行為だった。

はたけ上忍がうっとりと瞳を閉じる。
ああ、気持ちいいと、この上なくセクシーな声で囁く。
抱き合う方がチャクラの入りがイイよね なんて言う。

「これで俺たち、共犯者だね」

「止してください! 私、クビになる心算はありませんから!」

私は慌てて飛び退き、はたけ上忍が大笑いした。

 

私が出勤すると、はたけ上忍は「やあ、おはよう」と嬉しそうに目を細める。
夜勤の見回り時には大抵目を覚ましているので、眠るまで傍にいることもあった。
カーテンを開けるときの背中に、点滴をセットするときの指先に、
血圧を測るときの胸元に、ある種の熱の篭った視線を感じることがある。
それは、信頼の証拠だと私は受け取った。
幼い子供が母親を目で追うのとおなじだと自分に言い聞かせた。


はたけ上忍が愛おしくて堪らない―そんな私的感情を押し殺す。
駄目よ、駄目。 勘違いしちゃあ駄目。絶対に駄目。
看護に精を出しながら、自分にそう言い聞かせた。


幾分か人らしく笑えるようになった頃、はたけ上忍は退院した。

 


今までも何度もそうだった。
何度も瀕死の状態で搬送されるはたけ上忍の世話をしてきた。

此処へ、病院へ搬送される頃には、また笑うのが下手になっているはたけ上忍。
自然に笑えるようになりつつある頃、戦場へ送られては、
笑えなくなって再び此処へ舞い戻ってくる。
過酷な戦闘がそうさせる。
そんなことは解っている。
だけど、やっぱり、この人にはもっと普通に笑って欲しいと、
搬送される度にそういう思いが強くなる。


そうやって何度も同じことを繰り返す。

何度も禁じられた抱擁を繰り返す。


きっと今度もそうだろう。
否、今迄以上に酷いだろう。

私は丹田にチャクラを溜める。

大丈夫。

今回も絶対に笑わせてみせる。

 

 

はたけ上忍が到着した。

 

「はたけ上忍。大丈夫ですよ~。私がついています」

「また来ちゃったよ。ごめんね、よろしく頼むよ」

 


不思議な事に、一度死んだとされたはたけ上忍なのに、その笑顔は自然に近かった。
今迄で一番上手に笑えている。
絶対に酷く歪な笑い方をすると思っていただけに、私は驚きを隠せない。

 

 

 

ベッドに横たわったままの、はたけ上忍の髪を洗う。
バケツに流れ落ちる汚水を眺めながら、私は古い歌を歌う。

      泣きたくなるほど あなたが好きよ

はたけ上忍がクスっと笑った。

「随分古い歌知ってるね?『抱擁』だっけ?」
「はーい、私、古いものスキです」
「そ?そういうのもイイね?」
「ふふ、イイんですかね?」
「イイよ~」

そう言って笑うはたけ上忍はとてもとても美しい。
それに今までになく朗らかで饒舌だ。
冗談を言って私を笑わせることすらある。
何が彼を変えたのだろう?
今迄で一番酷い戦闘だったはずだったのに。
今回の入院は今までとはまるで違ってていて、私は少々落ち着かない。

 

「はたけ上忍って髪も綺麗…」

洗い終えた髪を拭きながら、自然と口からそんな言葉が洩れた。

「ははっ、この髪は父親譲りでね…」


ドライヤーの音で何を言ってるのか、聞き取れない。

「ごめんなさい。今なんて?」


「ん。俺、死んでたらしいじゃない? 夢見てたんだよね、ずっと。
夢の中で父親に会ってたんだ。長いこと喋ってた。それで俺…」


俯くはたけ上忍に、鳩尾の辺りがきゅうっと痛くなる。


ああ、またこの人は笑うのが下手になっちゃうのだろうか。


「言われたんだ。お前にはまだやるべきことがあるはずだって…」

「そうですよ! はたけ上忍はご結婚もまだじゃないですか。
まだまだやらなきゃならないこと、沢山あるはずです!」

 

私は何を必死に言ってるんだろう?
戦闘に命を燃やし、里を守ることに命を懸けた男の中の男だ。
ひとりの人間としての幸せだとかなんだとか、そういうものに興味なんてないだろうに。
一介の医療忍の分際で、天才忍者に結婚を勧めるようなことを言うなんてどうかしている。


心の揺れを誤魔化すようにもう一度手元のスイッチを入れて髪を乾かす。

父親譲りだと誇りにする銀髪は絹のような手触りだ。
この髪を掻き抱く女性は一体誰なんだろう?
あ、私、また、変なこと考えてる…

 


「死ぬのはね、怖くなかった。沢山殺してきたし、仲間は皆先に逝ってるし」

私はドライヤーを止めて、話に聞き入る。


「ただね、俺、まだちゃんとした恋愛、したことないんだ。誰かを真剣に愛したことがない。
でもこれって、キミと居るときのこの感情がそうなんだってやっと気付いたよ」

 

私の思考回路は分断された。
言ってる意味が理解できない。
そもそも一体どうやって私は抱きすくめられたのだろうか?
さっきまでドライヤーで髪を乾かしていたのに。


「先ずはデートしたいな。退院したらどっか行こうね?」

 

次の瞬間、触れ合った唇は普段の体温と比べ物にならないほど温かかった。
それは、里の誉れでも天才忍者でもない ひとりの人間 はたけカカシの体温だった。


一度離れて、瞳を見つめあう。
発動していない写輪眼が美しい。
オッドアイに頬を紅潮させた私が映る。
にっこりと幸せそうに微笑むはたけ上忍の顔は、世界で一番美しい笑顔だった。

そっと瞳を閉じると、温かく濡れた舌が、強い意志を持って口内へ進入してきた。

また一つ禁忌行為が増える。

私は共犯者と抱擁し合う。

かつてないほどの熱の篭った抱擁を繰り返す。

 

 

 

 

 

あああんっ、抱きしめたいっvv

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


コメント(4) 
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コメント 4

ねね



金鳳花さん こんにちは♪
ご来訪とコメントをありがとうございますv

カカシの胸の奥、確執というか後悔というか…
サクモさんと話すことで浄化されたと私も思います。
今週のwj、永久欠番ですね!!
一皮剥けた新生カカシがサスケ相手にハッスルし過ぎないかしらと新たな心配が無きにしも非ず(苦笑) 最初の教え子が抜け忍になり里に刃を向けるとなると、「ここは俺に任して」とまた言いそうで;;  あ、私の想像は当たったためしがないので、あえて書かしていただきました(笑)

うん! 一個人としての幸せを是非知って欲しい。 
金鳳花さんも抱きしめたい? そうそうv抱きしめてあげたくなるよね~^^
ぎゅうぎゅう抱いて、よしよししたい。頑張ったねえ良かったねえって(笑)

初のカカシ夢! 王子兼ヒーロー相手のSSをカカシドリマスター様が気に入ってくださるなんて、光栄です!! 嬉し~♪ ありがとうvvv
はたけカカシは永遠に不滅です!!!


by ねね (2009-06-03 11:06) 

ねね



ナナさん こんにちは♪
ご来訪とコメントをありがとうございます!

先ほどお邪魔してたんですよv
おまけ、とっても素敵でした!
そんな…謝らないでくださいよ;;被ったからって謝る必要なんて無いですよ;;
医療忍ヒロインでドリ書いてる方は山ほどいらっしゃるんですから。
特に今のこの時期は多いんじゃないかしら…知らんけど(苦笑)

タイトルの「抱擁」っていう歌、ご存知ないと思いますが、イイ歌です。
1969年のド演歌です。故箱﨑晋一郎さんが切々と女心を歌ってます。
歌詞だけでドリの世界なんですよー!

そう!傍にある幸せって大切ですものね♪
里一番の技師は里一番の幸せ者になる権利があると思います!
皇帝ペンギンに反応してくださって嬉しいですv
カカシなら歌うのも踊るのも御茶の子さいさいです(←死語:笑)






by ねね (2009-06-04 15:28) 

ねね



緋桜さん こんにちは♪
ご来訪とコメントをありがとうございますv

う~ん、仮死状態ってヤツだったんでしょうかね~?(苦笑)
三途の川を渡る前だった事は確かかと思います。
そうそう!ま、いいか、です。 終わりよければ全て良し ってことで(笑)

スキンは、お祝いの気持ちを表したくてピンクにしました(笑)
カカシ復活で私の餡子も解禁になって嬉しい限りですvv 
今日はおやつに葛饅頭買っちゃった~♪

バトンのお受け取りに深謝申し上げます。
と~っても長いから、お時間のあるときにゆっくりどうぞ…
よろしくお願いします(ぺこり)



by ねね (2009-06-04 15:33) 

ねね



ケイさん こんにちは♪
ご来訪とコメントをありがとうございますv

カカシは他人に甘えた事がない、甘え方を知らないと思います。
甘えは自立の一歩だと先月学びました(笑)
初めて甘えたのがこのヒロインだったらいいなvなんて妄想の賜物ですv
過去の女たちとはまるで違う関係にカカシ自身困惑してたと思います。
ヒロインも昔からカカシの浮いた噂を山ほど聞いてたから、抱擁されても自戒するしかなかったのです。
…と、ここで解説しないで済むような文章は私にはまだまだ書けまへん;;

wj、今後の展開が気になりますね。
結局ナルトは時空を超えて、うちはと千手のお話なのかも…なんて思います。

来週は入梅だとか;;
体調を崩しやすいときです(特にお腹と自律神経)
どうぞご自愛のほど、どうかお達者で~~vv


by ねね (2009-06-05 10:15) 

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