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doubt(09イル誕記念④) [SS]

本日の妄想:イルカ先生はポーカーフェイス
顔に出る方だと言われてますが、結構図太い神経の持ち主です

09年度イルカ先生誕生日記念SS第四弾

蔵の09イル誕記念SS③Cobraの続きです。
紅班友情出演♪ 犬塚キバの憂鬱とか(笑)

 

                      ― doubt ―

 

1週間の里外任務を終えて帰還する道すがら、紅班は火の国中心部で遅めの朝食をとっていた。
ホテル内の喫茶室で、四人と一匹はモーニングセットをゆっくりと味わう。

「キュウン、キュウン」
赤丸がキバに甘えるような声を出す。
「え?本当か?どこに?」
「何なの?キバくん?」
「イルカ先生が近くに居るってさ」
キバもくんくんと鼻を利かす。
「それは何かの間違いだろう。何故ならこの時間のイルカ先生は授業中だからだ」
シノが野菜サラダを隠された口元に器用に運びながらそう言った。
「けっ!赤丸が間違うわけねえ!確かめてやる。行くぞ、赤丸!」
「ワン!」
「キ、キバくん、朝ごはん…」
ヒナタの制止も聞かずに、キバは窓から外へ飛び出した。
「…先生」
困り果てたヒナタの視線を受けた紅が諦め顔で笑う。
「放っておきなさい。じきに戻るわ」

 

「あっれー?おっかしいなー。確かにこの辺りだと思ったのに…」
落胆するキバと同じく赤丸も尻尾を下げてうなだれた。
ここは火の国の中心地。
住宅地ではなく、商業地でありオフィス街であり、政の中心だ。
イルカが大名の御母堂からの指名任務で来ていたとしても不思議はない。
「ちくしょー、訳わかんねえや。 赤丸、戻って朝メシの続き、食おうか?」
「ワンッ!」
元来た道を戻る途中、赤丸が再び鼻をくんくん鳴らした。
「…だよなー。匂いが近いよなあ?」
キバも鼻を利かすものの、イルカの姿は見当たらない。
「おかしいなあ」
すると赤丸が突然激しく尻尾を振り出した。
舌を出してはハアハアと荒い息を吐く。
見るとそこには洒落スーツに身を包んだ女性が居た。
顎と肩の間に携帯電話を挟んで、大きなバックへ書類のようなものを仕舞っている。
「…ええ、先方もそう仰ってます。はい、解りました。すぐそちらへ向かいます」
ハイヒールを履き背中をピンと伸ばすその女性は、
小柄なことにも気付かないくらい堂々とした印象を受ける。
5月の爽やかな風が吹くと、カールのかかった髪が肩先でスローモーションのように揺れるのを、キバは息をするのも忘れて見入っていた。
「ワンワンワン!」
「おい、止せ!赤丸!」
飛び掛らんばかりに吠える赤丸を、キバは必死でなだめた。
「す、すみません…」
驚く女性にキバは素直に謝った。
「随分大きくて元気なワンちゃんね。 名前は?」
「あ、赤丸。コイツは赤丸っていいます」
「そう、赤丸。白いのに赤丸って不思議ね」
電話中の厳しい表情とはまるで違う、愛くるしい笑顔と紫色の瞳が印象的だった。
キバには「赤丸は普段は白いけど闘う時に…」などと説明する暇もなかった。。
その女性は笑みを浮べながら、赤丸の眉間や鼻先を愛撫するように触れ、
会えてよかったわ、と言い残して去ってしまった。


キバは自分は大人の女性に慣れている心算だった。
いつも近くに姉がいるし紅もいる。
美人だと評判の女性を前にしても緊張した事などなかった。
だが、今日は違う。
なんともいえない高揚感で地に足がついていない気分だった。
女性美を表す曲線を描くその魅力的なラインに眼が釘付けになる。
去り行く後姿をぼんやりと突っ立ったまま見送っていた。
そんなキバを促すように赤丸がその腰に鼻先を擦り付ける。
「う、うん、わかってるって」
地を蹴って赤丸に跨ると耳の後ろを掻いてやった。
「クウウン…」
「うん、イイ女だったよな」


 

紅班は午後から大名邸を表敬訪問したあと、里へ戻った。
受付で順番が来ると赤丸が興奮する。
「キバくん、赤丸、どうしちゃったの?」
焦るヒナタにキバは真赤になった。
赤丸は低く唸りながら牙を剥いて、受付に座るイルカを威嚇している。

キバと赤丸は知ってしまった。
あの女性にイルカの匂いが、イルカにあの女性の匂いが滲みついている。
それはどういうことを意味するのか。
疑う余地はない。
赤丸と自分の鼻を誤魔化すことなど誰にもできない。
しかし、あの女性とイルカとは!
キバの純情な少年魂は羨望と落胆で混乱した。
今すぐイルカに、事の真相を確かめてやりたくなる。

「イ、イルカ先生、今朝、火の国の中心部に来なかったか?」
「いや、午前中は非番で家で眠ってたよ」
「本当に?」
「ああ。 実は昨日はオレの誕生日でな、ドンチャン騒ぎで今日は二日酔いなんだ」
「そうだったわね、イルカ先生お誕生日おめでとう。昨日はさぞかし疲れたでしょう」
紅が訳知り顔で微笑んだ。
「イルカ先生、お誕生日おめでとうございます。あの…これ押し花で作った栞です」
「わあ、ありがとう、ヒナタ。大切にするよ。 紅先生もありがとうございます」
「おめでとう、イルカ先生。いくつになったんだ?相変わらず若く見えるが…」
「シノ、オレは実際に若いんだ! ははっ、ありがとうな」
「…おめでとう、先生」
「うん、キバもありがとう」
イルカは鼻疵をぽりっと掻くと、じっとキバをみつめた。
「キバ、どうしてそんな事訊くんだ? 火の国で何かあったのか?」
「ワン!」
「別に…。ただ、すんげえイイ感じの女の人からイルカ先生の匂いがしたような気がしたから」
イルカは大笑いした。
「火の国の女の人からオレの匂いがしたって? 有り得ねえよ」
キバはバツの悪そうな顔で目を逸らした。
「任務お疲れ様。報告書に不備はありません」
イルカはまだクスクス笑いながらそう言うと判を押した。


紅班が解散したあとも、イルカのクスクス笑いはまだ止まらない。
キバを言いくるめた事を喜んでいるのではない。
赤丸とキバの鼻の良さに感心したからだ。
教え子達がどんどん成長していくのが嬉しくて堪らなかった。。
早朝、会社を休まない彼女にチャクラを分け与えてから、瞬身を使って中心部に送り届けたことは誰も知らないはずだから。



 

帰り道、シノは少しうなだれるキバに向かって呟いた。

「キバ、おまえにひとつ忠告がある」
キバは赤丸の上からちらりとシノを見遣った。

「改まってなんだよ? かったるいなあ」

「…気付いていても、言わない方がいいときもあるということを覚えておけ。
それが大人というものだ」


シノのサングラスに長くなった初夏の夕日が反射していた。




 

 

 


コメント(2) 
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コメント 2

ねね



ケイさん こんにちは♪
ご来訪とコメントをありがとうございますv


タフな更新だなんて…
間に合わんと思ったから、4月中に必死のパッチで書いてたんだよー;;
イルカ先生も、一流の忍者だからね♪
こういうことも出来るんだよ~ん!

シノはムッツリ!絶対にムッツリ!(激しく同意!)
私、シビも好きなんだ~vv シカクとは違う色気があるのよね~vv

うははv またご想像にお任せする出来上がりになりました。
そういう部分を一番良く知ってるのは、勿論赤丸です(爆笑)

蔵にもありがとうございます♪
後ほどメールしにもどりますvv




by ねね (2009-05-29 08:55) 

ねね



ナナさん こんにちは♪
ご来訪とコメントをありがとうございますv

キバはナルトキャラの中で、一番等身大の少年らしい子だと思います。
ナルト以上にわかりやすい男の子だと(笑)
本誌ではイルカ先生とキバの会話って殆どないけど、イルカ先生にとっては
どの子も大切な教え子vその成長をいつも楽しみにしていると妄想してます。
「嘘だろ?なんでだよ?なんでダサいイルカ先生があんなにイイ女と…!
イルカ先生は違うっていうけど、赤丸とこの俺様の鼻を誤魔化せっこねえ。
だけど…なんでイルカ先生なんだよーっ?!納得できねえよぉ」
と鬱々とする少年キバ(笑)
そんなキバを紅先生はいつも生暖かい目で見守っている事でしょう。
もちろん、ムッツリ・シノも(爆笑)
そうやって、大人の階段をひとつづつ登っていくのよね~。

本年度イル誕記念SS全四話にお付き合い下さり、ありがとうございました!
それではまた~vv どうぞお元気でね~^^







by ねね (2009-06-01 12:32) 

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