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春一番 [SS]

本日の妄想:イルカ先生は時々甘えん坊の癖に包容力が凄い!

ヒロインは里山こりす(笑)

加筆修正しました 長くなっています。
大人仕立てのため、子供は帰ってください。

 

           ― 春一番 ―

 


こりすは朝から落ち着かなかった。


やっとの思いで手に入れたアカデミー教師資格証を、三代目火影の許へ受け取りに行く。
新任の教師が5名、順に名前を呼ばれて前へ一歩進む。

「子等ほど尊いものはない。子等は可能性に満ちておる。それぞれの良いところを見極めて
伸ばしてやってくれ。子等は里の宝。それを任せるのだから、しっかり…のう?」
「御意!」

5名が声を揃えて答えると、三代目火影は満足気にパイプを燻らせた。
イルカは穏やかな笑みを湛えたまま、こりすをみつめる。

 

夕暮れが近づいていた。


こりすはひとりでアカデミーの教室に居た。
新学期から、ここでくノ一クラスを受け持つのだ。

快晴だった筈の空に闇が迫り来る。
昨日までとは違う湿った温かな風がはげしく吹きつける。
ひとつだけ開け放した窓辺に立つこりすはじっと空を見上げていた。
教室の扉ががたがたと軋む。
閉めている他の窓のガラスも風が吹くたびに一斉に音を立てる。

生温かな風は止んだかと思えばすぐに思わぬ方向から吹いてくる。
その風は、ピアスの穴を吹き抜けて首筋に入る。
かと思えば、指の間をすり抜けて腕に纏わりつく。
地面から這い上がるように吹き上げ、こりすの臍を舐め胸の谷間を縫い顎へと抜ける。
気まぐれな強風は容赦なくこりすを翻弄した。

どきどきと落ち着かない。
ざわざわと騒ぎ出す。

こりすは浅い呼吸を繰り返していた。
息もまともに出来ないほど、温かな風が顔全体に張り付く。
小刻みに震える身体を手摺に摑まることで耐えていた。
このままだときっと自分は風に煽られ飛ばされ流されてしまう。
そう思った瞬間、漸くこりすを探し当てたイルカが教室に入って来た。

「ここに居たのか…随分探したんだぞ」
イルカの言葉にこりすは振向きもしなかった。
「どうした?気分でも悪いか?」
こりすのチャクラの乱れに気付いたイルカが窓辺へ急いだ。
こりすの頬は上気し唇から浅い呼吸が洩れている。
「ざわざわするの。落ち着かないの」
こりすは泣き出しそうな声でイルカを見上げてそう答えた。
「風の所為だよ」
イルカは勢いよく窓を閉めた。
乱れた髪を整えてやりながら大丈夫と囁く。
「きっとこれが今年の春一番だね」
髪を撫で付けていた手をスライドさせて肩を抱くと、こりすは安心したようにほうと息を吐いた。
「ほら、もう大丈夫だろ?」
しっかりと抱擁してやると、こりすも縋るように腕に力を込めた。
「イルカさん、私…」
見上げるこりすの視線にイルカの胸が高鳴る。
この眼差しはあのときと同じ。
自分を虜にする愛すべき娘と視線を絡ませ合う。
抗いがたい情熱が押し寄せる。
イルカは自分の胸にも、春一番が吹き荒れる気配を感じた。

きつく唇を吸い上げるイルカの胸をこりすの腕が突っぱねる。
「こりす…なんで?」
余裕の無いイルカが声を荒げた。
「ここじゃイヤです」
「オレたち、どこででも愛し合ってきたじゃないか。 なんで駄目なんだ?」
「ここでするのだけは絶対にイヤ」
言葉では拒絶しても、こりすの瞳の奥には既に炎が見て取れる。
イルカは眉根を寄せた。
小さく嘆息すると、こりすを抱え込み、素早く印を組んだ。

 

瞬身で現れた場所は校舎の屋上だった。
東の空は既に群青色に染まり、星が瞬き始めてている。
長く棚引く雲が赤黒い西の空を走る。
「すまん、おまえ見てるだけで…オレ、もう待てねえ」
遠くの森がごうごうと音を立てている。
強風は相変わらず、生温かく湿っていた。
ふたりの呼吸と髪が乱れる。

いつもと同じ、巧妙なキス。
煽られる。
温かく湿った風に。
時と場所を選ばず躊躇い無く自分を求めるイルカに。
どちらも強く温かく湿っている。
あまりの興奮にこりすの脚の力が萎えそうになる。
迫り来るイルカに後ずさると、すぐに背中が給水タンクに触れた。
こりすの背中以外、体中が火照る。
仰ぎ見る広い空は不安定な色をしていて、薄く千切れた雲が足早に流れていた。
この情熱。
終わりが見えないほど激しく過熱していく。
熱く湿った激しい衝動に我を忘れて没頭する。
なにもかもが激しく生温かく濡れていた。
忘れないでいたいとこりすは思う。
この情熱を。
イルカがまっすぐに自分を求めるこの瞬間があるだけで、自分には充分存在価値があると思えた。
給水タンクに押し付けられたこりすの背中だけが冷たかった。


「さっきは我侭言ってごめんね」
優しいキスを沢山与えられ、労わるように全身を撫でて貰うこの瞬間が、こりすは大好きだった。
「教室の事? 今迄何度も放課後の教室でやったことあるじゃないか。 何故なんだ?」
「あの教室でだけはイヤなの。 来月からあの教室で教えるから」
イルカの黒い瞳に、神妙な顔のこりすが映っている。
こりすもじっとイルカをみつめていた。
「あの教室だと、毎日今日のことを思い出すわ。そしたら、チャクラの乱れで他の教師に気付かれてしまう」
「…そうだな」
「私、後ろ指差されてるでしょう? それでイルカさん、嫌な思いしてるんじゃない?」
こりすは身を起こして衣服を整えた。


諜報専門といってもいいようなくノ一が教師になる。
そのことに難色を示す教師仲間がいることをイルカは知っていた。
― 彼女、諜報専門だろ?そんな娘に教師なんて務まるのか?アカデミーに相応しいといえるか?
   見たか?すっげえ色っぽいぞ。片っ端から誘惑されて骨抜きにされちまうんじゃないか?
そんな陰口を耳にする度にイルカは否定し弁明し続けていた。
「彼女は絶対に良い教師になります。それに諜報を下に見るのはやめろ。とても重要な任務だ」

「不安なんです。いっぱい勉強して採用されたけど、他人はそうは思ってない。皆、偏見を
持ってると思うの。なにかひとつ失敗するだけで、やっぱりなって言われるんじゃないかって。
そのことでイルカさんの評価まで落としそうで。 イルカさんにも迷惑かけるんじゃないかって」
イルカもゆっくりと起き上がった。
「諜報には自信があります。トラップにも。 だけど、諜報から外れた私に価値なんてあるのかしらと思うの。失敗したらすぐに諜報へ戻されるんじゃないかって、想像してしまう」
「そんなこと…」
強風と情熱で乱れた髪を結い直しながら、大きく息を吸った。
「そんなこと、まだ始まってもいないのに、心配するんじゃないよ。 新米の頃は誰だって失敗するさ。それが諜報ばっかりやってたからだなんて言う奴は狭量なだけだ。 もし、そんなことになっても気にすんな。 
オレが居る。 迷惑だとかそんな水臭いこと言うんじゃねえよ」
「イルカさん…」
ああ、このひとはなんて懐が深いのだろうとこりすは胸がいっぱいになった。
「努力する前に不安になんてなるなよ。泣き言は頑張って頑張ってそれでも駄目だったときに言え」
「うん、そうね」
イルカはにっこり笑って、照れたように鼻疵を掻いた。
「誰がなんと言おうと、おまえは木の葉が誇るくノ一だ。 オレが認めた里山こりすだ」
「…ありがとう。 私、頑張る。 イルカさんみたいに強くて優しい教師を目指します」
「オレだって失敗するさ。 でも、そうだな、公私混同は良くないな。 これからはちょっと慎もうか」
こりすもこっくり頷いた。


唇が重なる。
愛と信頼を込めた長く濡れたキス。
春一番が吹き荒れる夕暮れ時、アカデミー屋上の重なる影はなかなか離れなかった。
じきに新しい季節が巡り来る。



火影執務室では、三代目火影が水晶を覗き込んでいた。
「ほお~、今日も激しかったのう」
満足そうに目尻を下げる好々爺は、だがすぐに落胆の嘆息を洩らした。
「慎むとな? 楽しみが減るわい」
パイプに火を点し、感慨深げに一服した。
「まあ、その分、夫婦になる日が近くなるかのう」
火影はひとりごちた後、納得したように頷いた。








 

 

 

 

 

       


コメント(2) 
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コメント 2

ねね



ケイさん こんにちは♪
ご来訪とコメントをありがとうございますv

こりすという名前だけでピンときてくれるケイさんにLOVE☆です(笑)
蔵へもご入場、厚く御礼申し上げますvv
蔵にもコメントできるようにしました。こっそりと非公開。
私にだけ大人イルカへの熱い想いを囁いて~♪
よろしければどこで鼻血が出たかお教えください、今後の参考にします(笑)

こちらこそいつもありがとうございます!!
また遊びに行きます~♪


by ねね (2009-03-02 17:13) 

ねね



ナナさん こんにちは♪
ご来訪とコメントをありがとうございますvv

「赤面」ですよね~、スンマセン恥知らずな管理人で(苦笑)
あまりに恥ずかしいので常設してないんですよ;;
お楽しみいただけたようで嬉しいです♪
次は5月です。頑張ります。うん、頑張りたい。
ゲンマの件について濃ゆ~いメールを送りつけると思いますが、どうか逃げないで~(笑)



by ねね (2009-03-04 08:53) 

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