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オトコの純情―四代目編―(火影祭り2008参加作品①) [SS]

歴代火影 オトコの純情   ―四代目編―

ツインオフィシャルファンサイト様の火影祭り2008に投稿させていただいたお話です。

お転婆赤毛×ハンサム金髪=名作赤毛のアン という勝手な脳内構図のため、
クシナは癇癪持ち、ミナトは賢いという設定で(笑)
ナルト生誕お祝い話で、季節外れなバレンタインネタでもあります。

 

 

 

歴代火影 オトコの純情 ~四代目火影編~

 


その年の冬は厳しかった。

夕闇迫る猛吹雪の中、燃えるような赤毛の娘が、その髪に負けない程
赤い顔で、足を踏ん張って突き進む。
白い息を吐き、訪問先でどうやって暴れてやろうかと
それこそ頭から湯気が出そうな勢いで、脇目も触れずに邁進していた。

目的地は恋人の家。
赤毛の娘はドアを叩きながら、吹雪にも負けないほどの大声で叫んだ。
「開けなさいよ!ミナト!居るのはわかってるのよ!さっさとドアを開けて!」
金髪碧眼の美青年がドアを開け、その様子に少し驚きながら中へ迎え入れた。
「ん。クシナ、どうしたんだい?こんな吹雪の中を。寒かったろ?お茶を淹れるから
温まりなよ。それにしても、そんなに急いでいるなら瞬身を使えばいいのにさ」
クシナと呼ばれた赤毛の娘の雪を振り払う手が、一瞬止まった。
ああそうだった!と舌打ちしたいのを堪えて、慌てて憤怒の形相を取り戻す。
「説明して!」
「ん?」
「どういうことか説明して!おかしいじゃないの!完璧だった筈よ!
薬飲んでたし、チャクラコントロールだって…。それなのに、何故!?」
「ああ、そうか…病院、行ったの?」
この非常事態にも拘らず、ミナトがとても嬉しそうに微笑むので、クシナは益々激高した。
「行ったわよ!信じられない! ミナト、あなたあの時、何したの?
あ、違うか。何をしなかったの? まあ、どっちでもいいわ。どうすんのよ? 
遅れてるだけと思ってたのに。なんてことしてくれたのよ!」
クシナがウロウロと歩き回りながら勢い良く捲くし立てるのを、ミナトは黙って聞いていた。
10分近く、憤懣やる方ない思いをぶちまけ尽くすのを、お茶の用意をしながら辛抱強く待った。
癇癪を起こしたクシナに何を言っても取り付く島がないことを、ミナトは経験上良く知っている。
ひとしきり喚き散らしたあと、クシナは大きく深呼吸した。
そして、穏やかな微笑を浮かべてクシナを見遣りながらお茶の用意をするミナトを、ゆっくりと見据えた。
言いたい事は全て言った。
それなのに何故この男は反論しない?
それどころか落ち着き払って、お茶に使うハーブの分量を加減しているとは。
自分はこんなに取り乱しているのに、どうしてこの男は余裕たっぷりに笑っていられるのだろう?

波風ミナト ―― うずまきクシナが唯一愛した男 
里の期待を一身に背負う黄色い閃光 その名は他の里にも響き渡る。
自分が愛した者がそういう男だという事実を忽然と強く意識し、狼狽した。
クシナは眼をぎゅっと瞑って思い出す。 あの時、あの瞬間を。

「…ミナト、まさか、時空間忍術を?」
「ん。黙ってて悪かったね。ごめんよ」
「酷い。どうして?」
クシナは大きな瞳に涙をいっぱい溜めて、ミナトを見上げた。
「いくら忍者だって、こればっかりは授かりものだからね。でも出来て好かったよ。嬉しいな」
「嘘。態と?……そんな、何故?どうしよう? 私、どうしよう?」
今までの勢いはどこへ行ったのか、次第に小声になるクシナは子供のように不安そうだった。
ミナトはクシナの傍に行って、溶けた雪で濡れた髪をタオルで丁寧に拭ってやった。
冷え切った小さな肩が震えている。
ミナトは丁寧にお茶を淹れ、クシナに椅子を引いて座らせてやり、自分も向い側に座った。
沈静作用のある心地良い香りと沈黙がふたりを包む。

 

「欲しかったんだ」
お茶を啜るミナトがぽつりとそう言った。
「オレとクシナの愛の結晶が、欲しかったんだ」
ミナトの言葉にクシナは眉をしかめ、俯いて唇を噛んだ。
マグカップを握る手の爪の色が白く変わる。
「どんなに申し込んでも、キミは断るばかりだ。オレを愛してるくせに」
「だって、それは…」
クシナは言葉に詰った。
予め定められた運命を、どうすることも出来ない。
ミナトもそれを解っている筈だ。
それなのに尚もこの男は求愛を繰り返す。
「どんな方法を使っても、オレはキミが欲しい。キミしか要らない。どうか、オレの子を生んでくれ」
「……バカねえ」
「ん。そうだな、きっととんでもないバカで一本気な男の子が生まれるよ」
そう言って笑うミナトを、とても美しいとクシナは思った。

この美青年を次期火影に と気の早い者達が、三代目火影に進言していると聞く。
愛する男の純粋さに困惑してバカだと言ったものの、ミナトは決して馬鹿な男ではないことをクシナは充分知っている。
洞察力の深さ 判断力の鋭さ 特に先見の明は、里一番といっても過言ではない。
その男が、自ら望んで計画的にそうしたのだから、きっと深い意味があるのだろう。
―― 授かったばかりの小さな生命
クシナは持ち前の気の強さで、運命に抗う決心をした。
もう一度指先に力を込めると、ミナトが淹れてくれたお茶を一気に飲み干した。
「解ったわ。鼻から西瓜を出すほど痛いらしいけど、秋にはあなたにそっくりな元気な子を産んでみせるわ」
先程の怒りも動揺も無い、凛とした声でそう言った。
ミナトは碧眼に涙を滲ませ、この上なく満ち足りた表情で、「ん。」と頷いた。
テーブルの上、どちらからともなく指先が触れ合い、指を絡ませ、手を握り合った。
決して解けない絆のように、ふたりはしっかりとその手を握り合う。


「で? チョコ、持ってきてくれたんだろ? 一緒に食べようよ」
「…えっ?」
「ん? いや、ほら…。え?じゃなくて、今日はバレンタインデー。ね?」
「あっ…ごめん。忘れてたわ」
「…ま、いいや。ん。こっちへおいで」

ミナトの腕に包まれて、クシナは再び頬を赤らめた。
胸に耳を当てると、力強い鼓動が聞こえる。
胎内に宿るミナトの遺伝子を持つ生命も鼓動している。
〝愛の結晶〟だなんて、ミナトらしい台詞だと思わず笑みが漏れた。
クシナの頬は、その髪にも負けないほど一層赤く染まる。
「今日中に自来也先生に立ち会って貰って、夫婦になろう」
「今日中?……バカねえ」
黄色い閃光と呼ばれる男も、愛する女の前では一人の愚直な男に過ぎなかった。

 


吹雪はもう止んでいた。
深々と降り積もる雪が、里に静けさをもたらしている。

やがてこの里を襲うことになる邪悪な存在から、大切なものを庇護するかのように。

 

 

 

 2008.9.5献上

 

 

 

 

 

 

四代目は真っ直ぐな人だと思います。
その言葉に照れや誤魔化しなどありません。
それにね~ナルトのことを「愛の結晶」と呼ばせたかったのですよv
だってナルトはあんなに前向きで強い―愛ですよ!愛!!
因みに私はクシナ生存派です。
最終回には火影になったナルトとクシナが
みなしごハッチのような再会をしてくれればいいと本気で思っています。

 

 

 

 

 

 


 


コメント(3) 
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コメント 3

ねね


金鳳花さん 沢山読んでくださって嬉しいですvv
お礼申し上げます。ありがとうございます!

ミナクシお好きなんですか~?書いてよかった~♪
そう、裏表の無い感じv 赤毛特有の気性の激しさも併せ持って、クシナはとても素敵な女性だと思います。
クシナ=クシナダ姫(ヤマタノオロチに捧げられる娘)という脳内設定もあって、戦略結婚或いは人身御供的な許婚がいるので、断られっぱなしの四代目は実力行使!という妄想駄文です。 オトコは押しの一手で(笑)

ここ数日寒いですね~;;
お忙しくて大変でしょう、風邪にお気をつけてお元気でお過しくださいねvv

コメントを沢山ありがとうございました!私も遊びに参りま~す♪

by ねね (2008-11-11 14:14) 

ねね


ケイさんてばお気付きになった? 
うははvいつ仕込んだか指折り数えたの(爆笑)
ナルトは男児…ってことは、排卵日に合体した可能性が高いな、と。
まさかまさかそんなことある筈ないと思っているクシナは、
「…今月遅いな。1ヶ月トンじゃうこともあるって聞いたことあるからそうなのかも。でもなんか熱っぽい。風邪ひいたかな?酷くならないうちに診て貰おう♪」
と木の葉病院の内科を受診して妊娠発覚。案外ぼんやりさんです(笑)
晴天の霹靂のようなものだったので、楽しみにしていたバレンタインデーだということもすっかり忘れて、怒り爆発したのでした。
高校の保体の試験にこんな計算問題がありました。うるう年とかややこしかったです(笑)



by ねね (2008-11-13 11:36) 

ねね



はじめまして みゅうたさん
ご来訪とコメントをありがとうございますvv

おおーっ!ミナクシ大好きさんですか♪
釘付け?きゃあ!嬉しいです(笑)
捏造と妄想にお付き合いくださってありがとうございます。

また遊びにいらしてくださいね♪


by ねね (2008-11-17 10:16) 

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