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真似 [SS]

本日の妄想:秋のイルカ先生の飲み物は紅茶。
夏はアイスコーヒー、冬はホットコーヒーですが、春と秋だけ紅茶の方がいいらしい。
の妄想駄文。

涼しいのを通り越して寒いくらいですね~。
県内ではインフルエンザがこじんまりと流行っている学校があるのだそう;;

風邪などお召しになりませんよう、みなさま どうぞご自愛くださいませ。

 

台風も心配です。 どうぞご用心なさってくださいね。

被害が出ませんよう、みなさまのご無事をお祈りしております。

 

 

 

                ― 真似 ―


憧れの人は、オレンジ色の西日を浴びて、煙そうに瞼を瞬かせながら作業をしているという。
私は報告書を書く練習の為の作文を添削しながら、イルカ先生の気配を探る。
もうすぐ包みを抱えたイルカ先生が入ってくる。
ちょうど小腹が空く頃に大好きな人が作った好物が食べられるなんて、ああ、嬉しい。

イルカ先生が職員室に入って来た途端に、乙女心をくすぐる芳しい香り。
今年もまたこの季節が巡ってきたんだわと笑みがこぼれる。

「嬉しそうですね。少女マンガの主人公みたいな目になってますよ」
新聞紙で包んだ大量のそれを机の上に置きながら、からかうような事を言う。
「あら、イルカ先生、女性の好きな食べ物は芋・蛸・南瓜っていうじゃないですか、ねえ?」
スズメ先生に同意を求められて私はうんうん頷いた。
そう言うスズメ先生も眼鏡の奥の瞳がきらきらしている。
「さあ、折角だから温かいうちにいただきましょうか?イルカ先生ご苦労さまでしたね。毎年ありがとう」私は十数人分のお茶の用意をするために添削の手を止めて、立ち上がった。


ヤカンでお湯を沸かしていると、給湯室にイルカ先生が入って来た。
どきんと胸が高鳴る。
手伝いますよと言いながら腕を伸ばして私の頭上の戸棚の中を探る。
短くお礼を言って、でも今動いたら邪魔をするかと思い、黙々と皆のマグカップを取り出す。
どれが誰のか、誰が何をどうやって飲むのが好みなのか思い出しながら、急須や砂糖を用意する。
少し奥にあるものを取ろうとしたイルカ先生が一歩前へ、という事は嘗て無い程に二人が接近した。
私のこめかみのすぐ傍にイルカ先生の喉仏ある。
夕方だからか、顎のあたりに髭が少し生えているのを見て、またどきんとした。
「あ、すみません。邪魔ですよね」
硬い胸に頬がぶつかり、陶器が音を立てる。
ティーポットを持ったイルカ先生を除けようとして、接近どころか接触してしまった。
「あわわわわ、ごめんなさいっ」
動揺してその場でくるくる回る私に「すっげえ挙動不審」とイルカ先生が笑う。
ああ、なんてことだ。なんとか言い訳しなければ!
「もう、もうね、イルカ先生が焼いて下さった鳴門金時が食べれると思うと嬉しくて嬉しくて!」
そうかそれは仕方ないな とイルカ先生がまた笑う。
「そんなに喜んでくれるなら、煙い思いして焼いた甲斐がありましたよ」
「はい!ありがとうございます。ありがたくいただきます」
なんとか誤魔化せたとほっとする。

お湯が沸いて、人数分のコーヒー豆をスプーンで掬っていると、
「あ、オレの分はいいよ。、今日は紅茶にするから」
とイルカ先生はティーポットにお湯を注いで温める
「え?珍しいですね。いつもコーヒーなのに」
「んー、秋は紅茶が飲みたくなるんだ。冬になるとまたコーヒーに戻るんだけど」
「……私も真似っこして紅茶にしていいですか?」
イルカ先生は「ああいいですよ」とにっこり笑って私の分の葉を追加してくれた。

冷蔵庫からミルクを出して自分のカップに少し注いだイルカ先生が、どうだいという風に
眉を上げて私を見るので、こっくりと頷いたら、私のカップにもミルクを少し入れてくれた。
私はコーヒーと玄米茶を淹れて、其々のカップに好みに応じた物を追加していく。
でも何故先にミルクを入れるのかしらと思いながら。
「そろそろかな」
と独り言を言ったイルカ先生が、ゆっくりとティーポットを傾ける。
琥珀色の液体がミルクと溶け合って、瞬く間にミルクティーが出来上がった。
映画で観たんだ」
と、イルカ先生が恥ずかしそうにぽりっと鼻疵を掻いた。
「英国人がね、先に牛乳入れてたんだ。こうすると、ほら、スプーンで混ぜなくて済む」
どうだ恐れ入ったか とまではいかないにしても、なんだか誇らし気なイルカ先生が可愛らしかった。
私は可笑しくてうふふと笑ったら、イルカ先生も笑った。
「他にも映画観て真似したこと、ありますか? 影響受けたこととか?」
少し笑ったので緊張が解けて質問してみたら、イルカ先生は少し眉間に皺を寄せて考えた。
「…あ、そういえば、歯磨きの時、歯ブラシじゃなくて歯に直接ペースト塗って磨いてたな」
「えーっ?」
イルカ先生が鏡に向かって歯に歯磨き粉を搾り出すところと想像してまた笑った。
「笑うなよ。ワイルドで格好良く見えたんだから。今はもうやってないよ」
「あはは、なんか不経済な気がしますね」
ひとしきり笑って、大きなトレイにマグカップを並べた。

「映画、お好きなんですね?」
「うん。でも最近行ってないなあ。あ、今度一緒に行こうか?」

えええええーっ!?

思いもよらぬラッキーな申し出に、それこそ心臓が口から飛び出そうになった。
トレイを持って先に進むイルカ先生が、頬を赤らめて振り返る。
「誘ってんだけど…返事は?」
「Yes, I do」
脳が沸騰しそうなほど舞い上がった私は坂田師匠みたいな返事をしてイルカ先生に爆笑された。
「じゃあ、次の日曜日に…」
私はハンサムな顔を凝視しながら、首がもげそうなほどこくこく頷く。
「迎えに行くよ」
職員室のドアを開ける私の耳元でイルカ先生がそう囁いた。

 

焼き芋の甘さもミルクティーの優しさも、私のこの気持ちには敵うまい。

 



 

 

 

 

 

 


コメント(2) 

コメント 2

ねね



ケイさん こんにちは~♪

お待たせしました。久々の更新です(苦笑)
いや~、涼しくなったので友達と「会おか?」ってことが多くてね。
妄想の欠片はゴロゴロ転がってるのになかなか脳内で纏まらなくて;;

うははv 坂田師匠にリアクションくださって嬉しいわvv
うん、ここで終わるよ、私のはそんなのばっかり(笑) あとはご想像にお任せ♪ あ、ヒロインさん、興奮のあまりお芋を喉に詰めそうですが(笑)
映画はね、ロードショーじゃなくて昔の名作2本立てとか観そう(中忍だから)
季語…そ、そんなそこまで考えてなかったよ;; 勿体無いお言葉に感謝です^^

いつもご来訪とコメントをありがとうございます! とっても励みになります。
もう10月ですね~ アスマの誕生月♪
好物のとろろそばを毎日食べさせてやってください(←えらいこっちゃ:笑)
また遊びに行きまーす! お元気でねvv




by ねね (2008-10-01 13:00) 

ねね


あっきいさん こんにちは♪

うははv胸がもぞもぞしますか?イルカ先生ってジャブみたいに後でじんわり効いてくるんですよ。 カカシはその点、ストレートかアッパーvv 一発でヤラレます(笑)

ロイヤルミルクティーとクッキー♪いいですね~、英国流ハイティー♪
クッキーを焼くにもいい季節になりましたね。夏はバターが溶けて無理ですもん…
ウチのおやつは最近ミルクプリンばっかりです。
「コラーゲンとカルシウムを同時に採れったらええねんで」と何処で聞いてきたのか
身長を伸ばしたい娘自ら、毎日ミルクプリンを作っています。
私は今から友人宅へお茶しに行きます~♪

今度の日曜日は生憎の雨らしいですが、映画鑑賞には丁度いいですね^^
午後からイルカ先生が迎えに行きまっせ~(笑)

ご来訪とコメントをありがとうございましたvv



by ねね (2008-10-03 13:37) 

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