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深爪 [捧げ物]

お蔭さまで拙ブログの駄文数が100となりました。
初心に帰るべく よごろうざ様に捧げた初めての作品「深爪」が里帰り、
新たに捧げた作品「恋しぐれ」と同時にアップさせて頂きます。

思えば、よごろうざ様の「逆まつげ」とみかん様の「オサエラレナイ」が
私のイルカ妄想の全ての始まりでした[ぴかぴか(新しい)]
ヒロインさんの逆まつげを接近して治してくれるイルカ先生に萌えて
『ああっいっそ深爪を舐めて治して欲しい』と拍手を送ったのでございました[揺れるハート]

ヒロインはアカデミー教師のユメ先生。
あっ、職業は厳密にいうとよごさんの設定は少し違うのですが(ゴメン:汗)
ちょっと妄想癖のある天然乙女です(笑)
初々しさを目指しました♪

相変わらず、名前変更出来ません;; ごめんなさああい[もうやだ~(悲しい顔)]
少しでもお楽しみ頂ければ幸甚です。


 

      

 

        ―深 爪―

 

真暗なアカデミーの職員室の片隅、ぽつんと燈したデスクライトの下で ひとり残業するのは
ユメ中忍、アカデミー教師、恋する乙女。
一日の授業を終えた後、夕方からの受付業務が長引いてしまい 今に至る。
テストの答案を左手で捲りながら 閻魔帳に書き写していく。
右手中指をピンと不自然におっ立てたまま ペンを走らせるが、この単純作業は思いの外進まない。


「はぁ~あぁ~あ~あ」 と 情けない声を出しながら、ユメは自分の指先を見つめた。
チュウチュウ吸って フーフー吹いて・・・・・・・こんな事しても 気休めにしかならないのだけど。
それにしても、痛い痛い痛いじゃないの。 ズキズキ。 キリキリ。 
心臓の出張所があるかのように脈打つ指先。
絆創膏?
駄目。 無理。 圧迫なんてしようものなら それこそ飛び上がるほど痛くなる。
医療忍術?
恥ずかしくて頼めやしない。
酔っ払っていたのに爪なんか切るからだ。
深爪なんて忍失格というか、それ以前の問題のような、
大人として大丈夫なのかってくらい 情けない。

 


でもね、 昨日は本当に楽しかったな・・・・・・・・。
昨夜は アカデミーの定期テスト終了後の恒例の慰労会 と言う名の親睦宴会
イルカ先生と同じテーブル! 席は向かい合わせ! しかもお鍋! なんてラッキーなの!
食事中、本人を前にしていながら 何度妄想世界に入ってしまったことか。
その度にイルカ先生は、ユメ先生もっと食べて下さいよ なんて言いながら取り分けてくれた。
その上、二次会のスナックで隣に座れて、おまけに途中まで一緒に帰ることができたのだから。
イルカ先生、ビールを日本酒に切り替えたら途端に頬に朱が差して 艶っぽくなって。
かと思えば、 スナックでウイスキーを呑んだら今度は目が据わちゃって。
もう なんて 漢前 なの・・・・・・・
普段は見られない色んなイルカ先生を見ることができて、嬉しかった。
うふふ 笑いが漏れちゃう、 美味しかったわ 色んな意味で。
この想いが 実るなんてことを夢見ているわけじゃないけど。
ただ イルカ先生が 好き 好き 大好き もうどうにでもしてってくらい (意味不明)

 


あっ これ 早く終わらせて、席次出さないと。


ううっ 深爪痛いっ。 チュウチュウチュウ フーフーフー
頑張れ 私、あと少しだ。


集中すれば早く終われる作業の筈なのに、
書き写しては、指を吸い、昨夜の思い出に浸る。
妙なローテーションを繰り返しながら、夜は更けてゆく。

 

 

ガラリ と 音をたてて扉が開いた。
「・・・・ユメ先生、残業ですか」
「イ、イルカ先生?!」
丁度 ローテーションが妄想に入りかけた時、当のイルカが入って来たので、
ユメは椅子から転げ落ちるほど 驚いた。
「お疲れ様です」
何とか平静を装い ありきたりな言葉を搾り出す。
今の私 きっと 滅茶苦茶 挙動不審だ。


イルカは ユメの大好きな爽やかな笑みを湛えたまま 近づいてくる。
「明かりが漏れていたので」
そう言いながら 足で隣の椅子を引き寄せて 腰掛けた。
ユメの心拍数は急上昇。
「あ、あの・・・」
と イルカは鼻傷を掻き 笑いながら言った。
「ユメ先生の百面相、面白いですね?」
「・・・・・・・・?! 見てらしたんですか?」
イルカはコクコク頷きながら笑っている。
恥ずかしくて 恥ずかしくて 穴があったら入りたい とは、こういう事を云うのだろう。
アハハ と ユメは笑った。
もう 笑うしかない。
でも、 何か言わねば。 こんなチャンス滅多とないもの。


「あ、あの えっと、 思い出し笑いを・・・・・」 
「何か面白いことがあったんですか?」
「・・・昨夜はとても美味しかったです。 じゃなくて楽しかったです。
 あ、いえ、ちゃんこ鍋も美味しかったです。」
「・・・・も?」
「えっ? あ、いえ、あの、お鍋がとっても美味しかったです。 イルカ先生の名鍋奉行のおかげです。
もう ホント イルカ先生とご一緒できて良かったです。 だって ちゃんこ鍋の最後はラーメンで
シメるっ私、知らなかったですし、他のテーブルの人達はみんな雑炊にして、ぐちゃぐちゃに
なっちゃって結局残してたでしょう? 私、食べ物を粗末にするのが嫌なので 嬉しかったです。
ありがとうございました」
ユメは、しどろもどろになりながらも早口で一気に捲し立て、ペコリと頭を下げた。
「いやいや、ユメ先生がまめに灰汁取りしてくれたから、うまく仕上がったんですよ。」
イルカはより一層にっこりとして、声に笑いを潜めてそう言った。
お世辞でも嬉しい。
ユメの頬が上気する。
どうしよう、私 イルカ先生の前だと 挙動不審でどうしようもないわ。


「でも」
と イルカは急に心配そうな顔になり尋ねた。
「辛そうな顔もしてましたよね? なぜですか?」
ユメは ピンと伸ばしたままのペンを持つ手を見つめ、一瞬躊躇った後 訳を話した。
「昨夜 酔っ払ってたのに爪を切って、深爪しちゃったんです。
日中はチャクラを練ってやり過ごしてたんですけど。 お粗末な話しで 情けないです」
帰り道、不意に触れた指先が愛おしくて その爪を残しておきたくて、多めに切りました
なんて、 言えるわけがない。
イルカは、ふ と 表情を和らげ、見せて と 両手で大切そうにユメの右手を取り、
濃いピンク色の 剥き身になってしまったかのようなそこを じっと 見つめた。
無骨だが暖かい手。
イルカの体温がユメに伝わり、ユメの胸は一層高鳴る。
「こりゃ酷い。 痛そう。」 
眉間に皺を寄せながら、イルカが呟いた。
やだ、私がおバカなだけなのに イルカ先生に要らない心配をかけてしまう。
ユメは咄嗟に、もー死にそうに痛いんでーす と ひょうきんな泣き顔を作って見せた。


「だから お昼はカレーにしてたんですね。 これじゃ 箸も持てないだろ」
「・・・・・・?」
なんで 知ってるんだろう? 食堂で会わなかったのに。
怪訝な顔をしているユメに気づいたイルカは、余程痛いのだろうと その顔の意味を誤解し、
言葉を続けた。
「俺もね、子供の頃 よく爪切り失敗しては 母に治してもらってましたよ。
・・・・・え・・・っと・・・今日は、俺に治させて下さい・・・良いですか?」
イルカは 少し照れたようにそう言うと、 意を決したように真剣な眼差しでユメを見つめた。


何か私の知らない術を使ってくれるのかしら、 さすがイルカ先生。

 


だが イルカは返事を待たずに 睫を伏せると、そのままゆっくりとその口内に ユメの指先を収めた。
「・・・・・・・・・っ!!?」
温かく濡れた舌でやわらかく包み込むと、 チュウチュウと絶妙なストロークで吸い上げた。
ユメの呼吸が止まる。
血液が逆流したように 指先から順に体が痺れてゆく。
イルカの唇が丸まり 頬が少し萎む動作が繰り返される。
こんな妖艶なイルカを見るのは初めてで、ユメは身も心も芯から揺さぶられる。
スローモーションで繰り広げられる 甘美な瞬間。
時間にすれば わずか三秒足らず、 イルカが二度瞬きをする間なのに・・・・・
ユメは、そのストロークで愛されている自分を夢見た。
イルカの想いを全身で受け止め これ以上ないほど愛しげに優しく 翻弄される自分を。
なんて 素敵なストローク。
心地良すぎて とろけそう。
何もかも 指先からとろけてしまう。
大好き 大好き イルカ先生 もっと もっと あなたが欲しい  そう思った瞬間
「ん・・ふっ・・ん・ひゃああぁ~んんっ」
あられもない声を上げてしまったユメは、自分の声に驚き我に返った。
慌ててイルカの口内から指を引き抜くと、まだイルカの体温の名残を残す右手を左手で覆い、
わななく口元を両手で隠した。
恥ずかしさのあまり頭の中が真っ白になり 喉の奥が引き攣る。
あんな声を出すなんて、史上最高の挙動不審だ。
どうしよう どうしよう・・・どうすればいいの?
泣きそうだ。

 

「ご、ごめん! 嫌でしたよね、すみません・・・・・・なんか、俺・・・すみません!」
潤んだユメの瞳に気づき、イルカは狼狽し、必死の形相で謝り、 立ち上がって頭を深々と下げた。
「違っ!、嫌じゃないんです、違うんです。 私こそ、変な声を出しちゃって・・・・」
「・・・っ・・俺っ なんて失礼な事を・・・・。本当に申し訳ない!」
尚も頭を下げ続ける誠実なイルカに、ユメも立ち上がり両手をパタパタ振った。
「そんな・・・謝らないでください。 全然大丈夫ですから。」
違う、違うの。 嫌じゃなかった。 
きちんと説明しないと誤解されてしまう。
「お願いですから、頭を上げて下さい。 本当に嫌なんかじゃなくて、 あの、むしろ嬉しかったです。
子供の頃を思い出しました。 深爪も目にゴミが入った時も 母が同じようにしてくれましたから。」
ユメは必死で言い繕った。
イルカは俯き、唇を噛み締めていた。
膠着したままの二人に 時計が十時を告げる。

 


「あっ」
ユメが、何かを思い出したように先に小さく声を上げた。
「えっ?」
「先生、イルカ先生、 任務あったんじゃ? 護衛の?」
受付でチラリと見た依頼書、マダムシジミの御母堂の護衛は、いつもイルカ指名で依頼される。
子供からお年寄りまで幅広く人気のあるイルカならではだ。
「そう、なんですけど・・・」
「早く行かれないと・・・・。私、本当に平気ですから。 大丈夫です。」
だって、イルカ先生は何も悪いこと していないもの。
イルカは申し訳なさそうに眉を下げ、溜息をついた。
「・・・・すみません。 じゃあ、 俺 行きます。 ユメ先生、帰り気をつけて。」
「はい。 ありがとうございます。 イルカ先生もお気をつけて。」
お辞儀をするユメに、イルカはもう一度頭を下げた。
扉に向かう後姿を見送りながら、ユメは思う。
結わえた漆黒の髪の下の凛とした項、 広い背中、 ゆったりとした長い手足、 引き締まった臀部。
私、 もう 本当に、 遺伝子レベルで この人のこと 好き。

 

つい先ほどの甘い痺れを指先に思い出し、吐息をついた時、イルカが振り向いた。
「あ、あの、ユメ先生」
「はい」
「深爪が治って箸が持てるようになったら、晩メシ 付き合ってください。」
「・・・・・・はい」
返事を聞くとイルカはいつもの笑みを浮かべ、部屋から出て行った。


残されたユメは、ゆっくりと息を吐いた。


・・・・・・・え? ん? 待って。 私 誘われたの?

 


・・・・・・・・・・・だとしたら・・・・・・・・・・


ユメは アカデミー卒業生の言葉を呟いた。


「メルヘンゲットー  かな?」

 

 

 


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