So-net無料ブログ作成
検索選択

炬燵 [SS]

本日の妄想:イルカ先生は案外炬燵が好き。
炬燵蜜柑・炬燵鍋最強!と思っている。
でも自分の家にはありません。 の妄想駄文です。

 

   ―炬燵―

仕事納めの夜、12月に入ってからまともなデートしてなかったなあ と思いながら帰省準備をする。
私も忙しくて休日出勤が多かったから、休みが合う日が一日も無かったもの。
それでも寂しくないのは、四日に一度はイルカさんが訪ねてくれるから。
アポ無しなのが気に入らないけど。
夜遅く、手土産を持ってドアチャイムを鳴らすひと―きっと今日も…


「よっ! 邪魔していいか?」
ドアを開くと、車掌さんのように片手を上げたイルカさんが愛嬌たっぷりに笑う。
「今日は何を持ってきてくれたの?」
鍵をかけながら広い背中に尋ねた。
「ん?蜜柑。一緒に食おう」
食事は済まして来たというので、お茶を用意しにキッチンへ行くと低い呻き声が聞こえた。
「ううー、ぬっくいなあー。うーん。 ああ、やっぱ、炬燵はいいなあ!」
額宛を外して脇に置いて、イルカさんは嬉しそうにそう言いながら蜜柑に手を伸ばした。
白い筋もそのままに、半分に割るとそのまま口に放り込む。
あっという間に5つくらい平らげてしまう。
私は向かいに座って、白い筋を丁寧に取りながらその様子を見つめていた。

なんのことはない。
イルカさんは家に来る度、こうやって炬燵に潜り込んで暫く寛いで、帰って行く。
贅沢言っちゃいけないよね。
だって、会えるだけでも、嬉しいんだよ。
任務で疲れているだろうに、本当に文字通り四日も空けずに家まで来てくれる。
ああ、だけど。
来る度に、炬燵のことばかり褒めるのって どうよ?

なんだか面白くなくて、お行儀が悪いけど、片肘を突いてごろんと横になってテレビを見た。
テレビでは、お笑い芸人がこの1年の出来事を面白おかしくコントにして演じている。
ぼんやりと見ながら、今夜くらい泊まってくれてもいいのに と思う。

「あれ?鞄?どっか行くのか?」
イルカさんが湯呑みを置く気配を感じた。
「うん、明日から実家。お正月くらい帰って来なさいって。」
テレビから目を離さないで答えたら、イルカさんは一瞬のうちに私の背後に横たわった。
まるでスプーンが重なったようにぴったりと。
まったく、なんなのよ?忍者って。
「なによ?」
思わず声に非難の色を混ぜてしまう。
「おもふひとのそばへわりこむこたつかな って知ってる?」
「一茶でしょ?」
「アタリ」
イルカさんはそう言うと私の頭を抱えてぎゅっと抱きしめた。
「いつ帰って来るんだ?」
「さあ…1週間くらいかな?」
「えー!?そんなにィ?」
向き直りたいのに拘束されてるから身動きがとれない。
イルカさんたらきっと、私に会えない事より炬燵無しになるのが、寂しいんだわ。
炬燵に嫉妬してどうするのよ?私。
「イルカさんはお正月なんて関係ないじゃない。どうせ任務があるんでしょ?」
私の言葉にイルカさんの腕の力が緩んだ。
どうしても厭な言い方をしてしまう。
「うーん、そう、そうだ。そうなんだけどな」
本気で困ったように耳元で呟いた後、小さく嘆息するのでぞくっとしちゃう。
短い沈黙の後、イルカさんが特別低い声で囁いた。
「……なあ?今夜、泊まってっていいか?」
どんな顔してこんな事言うんだろうと、首だけねじって顔を見ると、
鼻疵の上の眼差しは探るように私を見つめている癖に、口元には笑みが浮かんでいる。
きっと答えは返事しなくてもわかってるのね。
結局、いつも私の負け。
ま、いいわ。
負けるが勝ちっていうこともあるしね?

 

 

 

                 どちらさまも どうぞ 良いお年をお迎えくださいませ

                 新しい年がよろこびに溢れる年でありますように
 

 


 


コメント(0) 
共通テーマ:アニメ

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。