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焼酎 [SS]

ビール」の続きの妄想駄文です。

秋になったからね、約束通り・・・・
ある意味、ヴォイス萌え駄文(笑)

 

 

      ―焼酎ー

 

「秋には焼酎、オレと一緒に呑んでください」 

ぞくっとするほど良い声で耳元でそう囁かれたのは夏の終わりの頃だった。
イルカ先生は教師・受付・任務の三本立で相変わらずお忙しそうだ。

あれはきっと酔った勢いだったんだわ。
期待するなんて、何にも知らない十代の乙女じゃあるまいし…
己の能天気ぶりに呆れつつ、今日も残業帰りの夜道をとぼとぼ歩く。


一雨ごとに秋が一層深まりつつある。
森には針葉樹が多いけど里の中は広葉樹が多い。
紅葉した木々の間を冷たい風が吹き抜けた。

 

 

「え? こ、今夜ですか?」
廊下で呼び止められて、突然の申し出に素頓狂な声で答えてしまった。
「あ、急過ぎましたよね。ごめん、オレ明晩からまた任務が入っちまってて…」
イルカ先生は額宛の下の眉を人指し指でぽりっと掻いて、困ったように嘆息した。
「いいです!全然いいんです!今夜行きます!どこですか?何時ですか?」
必死で言い募る私に、どこかほっとしたような笑みを浮かべて時間と場所を告げた。
「じゃ、あとで」
いつもの笑顔で軽く片手を上げるとイルカ先生は職員室へ入って行った。
ああ、休みの度に実家に帰って、お父さん相手に焼酎を呑む練習しておいて良かったと思った。

 


いつものように仲間と一緒ではなく、二人で炉辺焼きの美味しい店のカウンターで乾杯した。
しっとりとした大人向きのお店では、イッキ呑みするような輩はいない。
一輪挿しの山茶花の蕾が美しい。
体の左半分が温かいのは気の所為なんかじゃない。
すぐ隣にイルカ先生がいるから。
他愛の無い話をして笑って食べて呑んで……
嘘みたい。 夢みたい。 なんかデートっぽい。
焼酎が美味しい。
お父さんと呑んだ時、焼酎ってこんなに美味しかったっけ?

「ええっ? またまんまでいくの?」
イルカ先生は目を丸くしてお替りを頼む私を見つめた。
「え?ストレートが一番美味しいんじゃないんですか?」
「あ、ああ、そりゃそうだけど。でもほら、ソーダで割ったりするだろ?」
「そうなんですか?」
親父のヤツ 騙しやがって!と 心の中で悪態を吐いた。
「いや、いいんだけどね。しかし、イイ呑みっぷりだなあ」
イルカ先生は頬杖をついて微笑んで満足そうにそう言った。
「誘った甲斐がありましたよ」
なんだか恥ずかしくなって俯いてしまう。
「あ、でも、明日の酔い覚めがいいから、こっから先はお湯で割っときなよ」
いつもの、敬語混じりの真面目そうな口調と違った砕けた口調に少し驚いて顔を上げた。
鼻疵の上の真っ黒な瞳がじっと私を見ている。
「ね?」
と促されて
「はい、そうします」
と答えた。
イルカ先生は自分の分と一緒にお湯割りをオーダーしてくれた。
杯は酌み交わされ、夜は深けていく。

「冬はやっぱ熱燗だな。もっと寒くなったらまた誘ってもいいかな?」
お箸でししとうをつまみ、ぱくりと食べて一層にっこり笑う。
体温を感じるほどの近くで笑顔を見れるなんて。
ドキドキして、ただコクコクと頷いて、所在無げな指先で箸枕を弄んだ。
あの時と同じように、また イルカ先生が頭を傾げて少し私に近づく。
何かしらと耳をそばだてた。
私を映す黒い瞳が潤んでいる。
嗚呼、なんて色っぽい。
イルカ先生は一瞬息を詰めて、それから頬が触れるほどまで接近して、
誰にも聞こえないように小さな声で囁いた。
「ししとう、食べちゃ駄目だよ。辛い」
サ行で始まる言葉が私の左の鼓膜を嫌というほど揺さぶる。
嗚呼、イルカ先生って、色っぽい上になんて優しいの!

 

 

 

                               声萌えにもほどがある(爆笑)
                              左耳からのサ行はマジでキます!
     

            

 

 

 

 

 


 


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