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ビール [SS]

本日の妄想:イルカ先生は夏の終わりを、『ビール呑みたい指数』で感じる。(8/22)
の妄想駄文 観察日記みたいになっちゃった(笑)

今年の大阪のビール消費は凄かったらしいですね。
全国平均の倍ですってよ。
だって沖縄より平均気温が高かったものね。



 

       ービールー

 

明日から新学期が始まるという夜、アカデミー教師達がすずき亭屋上に集合する。
枝豆や唐揚げがテーブルの上に所狭しと並ぶ恒例のビアパーティーは大賑わい。
今夜で今年のビアガーデンも閉店だ。
沢山の乾杯の掛け声とともにジョッキが触れ合い、暫しの沈黙の後、カーっという呻き声。
パラパラと拍手が沸きあがり、其々が談笑しつつ飲食する。
昼間は熱風が吹いていた里も、夕暮れと同時に森を抜けて心地よい風が吹く。

イルカ先生の髪が風に舞う。
少し髪を切ったのか、額の一房が後れ毛となって精悍な顔の上に影を作る。
談笑するその横顔、唇の上に毛先があたり鬱陶しそうにする。
ぐびっと一杯目のジョッキを空にしたあと、結っていた髪を振り解いた。
「Wow…!!」
と、私は心の中で叫んだ。
この瞬間、異国の人なら絶対大袈裟にこう叫んだに違いないと思いながら。
紐を唇で挟んで、無造作に髪を束ねて結い直す動作に目が釘付けになる。
もう一度、「Wow…」と心の中で呟く。
こんなに色っぽい男の人を見たことがない。
私はバカみたいにぽかんとしていたんだろうと思う。
イルカ先生は、唐揚げで膨らんだほっぺのまま私の方へ向き直った。
「あれ?全然呑んでないじゃないですか?もう、温くなっちまってる。勿体無いなあ」
そう言うが早いか、ぐびぐびと喉を鳴らして私のジョッキを空にした。
「おーい、こっちもお替わり」
呆気にとられる私を尻目にビールの追加を注文する。
「…どうかしたんですか?」
少し赤くなった顔が近づく。
こんなに間近で鼻疵を見れるなんて。
「え?だって、イルカ先生、私の…」
「あ、アハハハ。間接キッスのなっちまいましたか」
更に赤くなった顔で笑う。
「何、やってんスか? イルカ先生、それって確信犯じゃないんスか?」
二人の遣り取りを見ていた同僚がからかう。
イルカ先生はただ笑って否定も肯定もしない。
その笑顔のまま運ばれてきた新しいビールを私に手渡してくれた。
ジョッキを合わせて乾杯の仕草。
さあ、見ててやるから呑んでごらんとばかりに黒い瞳に私が映っている。
両手で支えて一気に半分まで呑んだ。
「イイ飲みっぷりだなあ!」
イルカ先生も三分の二まで呑んだ。
枝豆を運ぶ口元に目が行く。
目が合うと一層にっこりと笑ってくれる。
「呑むのもいいけど、食わなきゃダメですよ」
唐揚げに焼き塩を少しつけて手渡してくれた。
「イルカ先生、なに世話焼いてんスか?」
先程の同僚が再びからかう。
「すみません」
と私は恐縮する。
「ビールが旨いのもそろそろ終りか」
俯き加減のイルカ先生がぼそりとそう言った。
続きに何か言いたそうだったので、少しだけ頭を傾げてイルカ先生に近づいた。
「秋には焼酎、オレと一緒に呑んでください」
私にだけ聞こえるように耳元で囁かれた言葉に、食道を通過中の鶏が詰まりそうになった。
慌ててジョッキのビールを流し込む。
鼓膜が言葉を反芻する。
「秋 焼酎 オレと一緒 呑んで オレと呑んで 一緒に 焼酎 オレと」
体中の血液の循環が良くなったのは、ビールの所為だけじゃないのは明らかだった。
私はこんなにドキドキしているのに、イルカ先生は何事も無かったように他の同僚と談笑する。
つくづく大人の男の人なんだと思う。
こんなに動揺するなんて駄目じゃん、頑張れ私!
秋までに焼酎も呑めるようになろう。
あ、違う、明日からの新学期、頑張ろう。
イルカ先生に少しは先生らしくなったと言って貰えるように。


 





 


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