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蜻蛉 [SS]

本日の妄想:夏の終わりのイルカさんはアンニュイ…   誰でもか。 
の 駄文です。 
アカデミー夏休みは40日もないと思います。
ええとこ2週間くらいかと…

 

 

   ー蜻蛉ー


アカデミー時代の夢を見た。

親友と急いで歩く夕焼けの中、蜻蛉の群れが飛んでいた川原。
提灯のあかり。
お囃子の賑やかな音色。

「明日の盆踊り、イルカ先輩が太鼓叩くんだって!」

親友からそう聞いた私は、ママに頼んで浴衣を着せて貰って髪を結って貰って、
お気に入りの、ビードロで出来た小さな雫の形をしたピアスをつけると、
おばあちゃんに着物にピアスなんて!って叱られたっけ。

履きなれない下駄の鼻緒が痛くって、肩を貸して貰った遠い夏の日。

アカデミー時代最後の夏休みの思い出。


おばあちゃんは、もう居ない。




初めて喋った日のことは、大人になっても何度も夢に見る。

思い出は遠いけれど、あの日、憧れだったイルカさんはすぐ傍で寝息をたてている。

運命って 縁って 不思議。



夢うつつでこおろぎの声を聞く。


イルカさんの手がシーツを滑って、私のお腹の上に重なる。
素敵な重みにかすかに眼を開く。


「そろそろ起きなきゃ」
「もう?」

だるそうにイルカさんが掠れた小声で話す。

「蜻蛉…」
「蜻蛉?」
「夢に」
「あ、私も」
「誰だったんだろ?」
「…おばあちゃんかな」

 

真夏には無かったひんやりとした風がカーテンを揺らして、音を立ててレールを走った。

イルカさんが身体ごと向き直って私の項に腕を差し込む。

半分開いたカーテンから差し込む月明かりの下、
すぐ傍の横を向いた顔の上を長い髪がはらりと覆うのが見えた。

髪の間から見える 長い睫毛 高い鼻梁に一筋走る疵 精悍な顔 


すぐにまたイルカさんが寝息をたてる。

息が掛かるほど、こんな傍に居られるのは至福のひととき。



最高の頚椎枕でまどろむ私は、蜻蛉の群れに囲まれる夢を見る。

きっと今日も暑くなるだろう。

私の出立まであと少し。


どうか、今回もイルカさんの元へ生きて帰れますように。


 

 

 

 

 


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