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冷え [SS]

本日の妄想:イルカ先生は急な温度差が苦手。 
この時期は雨が降ると急に気温が下がりますね。
イルカ先生は低気圧が近づくとすぐにわかりますよ。背中の古傷が痛むのだそう。
冷暖房が効き過ぎた部屋から屋外へ出たと時のギャップもお嫌いそうです。

 

    ー冷えー

午後から降り始めた雨は、やがて風を呼び雷まで連れてきた。
アカデミーの職員会議が終って帰ろうとしたけれど、
置き傘を同僚に貸したままになっていた事を思い出した。
恨めし気に空を見上げていると、イルカさんが声をかけてくれた。
「方向一緒だったよね? よかったら傘、一緒に…」
憧れの人だから、思いもよらない申し出に心臓が止まりそうになった。
冷静さを装いつつ、礼を言ってイルカさんの大きな傘の中で並んで歩く。
「この雨はきっともうすぐ上がるから、それまで家で…」
この申し出に、再び心臓が止まりそうになった。
こくんと頷くのが精一杯で、まるでアカデミー生のような自分の振る舞いに腹が立つ。
二度も止まりそうになった心臓は、そのあとずっと喧しいほど忙しなく鼓動し続ける。

「雨が降るとちょっと冷えるなあ」
閉めていた窓をわざわざ開けて深呼吸したあと、また閉めてイルカさんが言った。
― 独り言? それとも私、何か言った方がいいのかしら?
その後姿をちらりと見遣って自分の指先へ視線を戻す。
淹れてくれたコーヒーから立ち上る湯気が斜めから垂直に変わった。
「コーヒー、冷めないうちにどうぞ。 あ、牛乳が要ったっけ?」
向き直るなり恥ずかしそうにそう言ってキッチンへ消えるイルカさん。
―  私がコーヒーにミルクを入れるの何故知ってるの?
イルカさんの部屋の中をくるりと見回して、私はほぅーっと小さく溜息を洩らす。
緊張で、この三十分ほどは呼吸すらも儘成らない…

「ありがごうございます」
牛乳を受け取って、カップに注ぐ。
緊張で間違って気管に入ってしまわないように気をつけながら、熱い液体を流し込んだ。
小さなテーブルをはさんで斜め向いに座るイルカさんもカップを傾けてコーヒーを飲んだ。
その姿はそのままCMにでもなりそうなほど素敵で…
きっと、私は莫迦みたいに、ぽかんと見蕩れていたんだと思う。
イルカさんの顔がみるみるうちに真っ赤になって、奥歯を噛み締めて口を横一文字に結んだ。
はっとして視線を逸らそうとするのだけど、まるで吸い込まれるようにイルカさんから目を離せない。
イルカさんの瞳に私が映る―それはイルカさんも私を見つめているということ。
何か言おうと思っても何を言えばいいのか、もし声が出てもとんでもないトーンで話しそうで混乱する。
ふいに近づくイルカさんの鼻疵…
息遣いを感じた途端、唇に暖かいものが触れた。
イルカさんが腕を伸ばして私の肩を引き寄せる。
― 何が起こってるの?
「…ああ、やっぱりあったかい。気持ちいいな」
小さな声でイルカさんが言う。
「ごめん、少しだけこのままで…」
「…はい」
私はおぞおずと広い背中に腕を回した。
口では言えない私の気持ちを籠めて。

 

            順番間違ってるよイルカ先生(笑) 明日か明後日、イルカ先生サイド書こうっと♪


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