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遠足 [SS]

本日の妄想:アカデミーの遠足、イルカ先生のクラスはめちゃ楽しい

 

 

     -遠足ー

「先生、本当?本当に僕の分のお弁当も持ってきてくれたの?」
今年入学したばかりの男の子が、イルカの腰に纏わりついて見上げて尋ねた。
「ああ、約束したろ?」
「イルカ先生、オレのは?」
「オレのもあるの?先生?」
「心配するなって、用意してやったから。ほら、自分のリュックに入れろよ、な?」
イルカは、笑いながら腰から離れない男の子を引き剥がして自分のリュックから巾着袋を取り出した。
「わあー!」「やったー!」「先生、ありがとう!」
口々に感嘆の声を上げると子供達は木綿の包みを大事そうに受け取った。
「ほら、キミの分もあるよ」
差し出された包みを受け取ったやせっぽちの女の子は、瞳を輝かせた。
「…ありがと、イルカ先生。あたし、嬉しい」
子供たちが弾むような足取りで集合場所に戻って行くのを、イルカは眩しそうに見つめていた。



演習とは名ばかりのアカデミー初級クラスの遠足。
最初の遠足の弁当―親の愛情が籠もった空腹を満たすもの
だが、それを持てない子供たちもいる。
殉職者を親に持つ子供たち。
かつてのイルカがそうであったように、その寂しさは胸を抉る……

 

前以て、教師達が仕掛けておいた簡単なトラップに引っかかる者 幻術に泣き叫ぶ者
一般人の子供には少しハードなハイキングも終盤に差し掛かる。
森を抜けて川原へ出たとき、エビスが大声で言った。
「では、皆さーん! ここで昼食とします! 自由時間は丑の刻までですぞ!」
その黒眼鏡に陽光が反射した。

「一緒に喰っても構いませんか?」
ふいに話しかけられて、既に口の中にある卵焼きを咀嚼しながら真っ赤になって頷いた。
イルカ先生が私の隣に座る。長い脚がぐんと目の前に伸びた。
こんなに近くに、こんなに傍で憧れのひとの顔を見れるなんて……
私は慌ててお茶を飲む。
「どうです?アカデミーにはもう慣れましたか?」
「はい、どうにか。子供たちのパワーに圧倒されそうですが」
イルカ先生はハハハと笑いながら木綿の包みを解いた。
竹の皮に包まれたおにぎりは大きくて少し歪だった。
「…どうしました?オレの弁当、そんなに旨そうですか?」
「えっ?あ、す、すみません。男の人の手料理って感じだなあ なんて見蕩れてしまいました」
いくら興味があるからって、そんなにじっと人のお弁当を見るなんて失礼な事しちゃったわ 
と 思うと恥ずかしくなって、変な言い訳をしてしまう自分が情けない。
「見蕩れてくれるんなら、男の手料理試してみますか? オレのと交換」
イルカ先生は笑いながらそう言って、三つあるうちのおにぎり一つを私にくれた。
私も自分のお弁当箱を差し出した。
「お口に合いますかどうか…お好きなものをどうぞ」
イルカ先生はお言葉に甘えて なんて言いながらおにぎりとおかず数品を竹の皮に移した。
「おおっ?旨い!料理が得意なんですね?」
牛肉の時雨煮とおにぎりを頬張って、イルカさんがそう言ってくれた。
お世辞と解っていても嬉しくて、どう返事をしようかと逡巡する。
辺りはもう既に食べ終わり、裸足になって川ではしゃぐ子供たちの声で賑やかになっていた。
「おーい、イールカ先生ー!弁当旨かったぞー!ありがとうー!」
「オレも旨かったー!ありがとー!」
「ありがとう、イルカ先生ー!先生のおにぎり最高だったよ!」
子供達が中州から大声で叫ぶ。
その眼はきらきら輝いていた。
イルカ先生は「おうッ!」と言って子供たちに向かって大きく手を振った。
そんなに美味しいのかしら?
かぷっとかぶりついたおにぎりの中、入っていてもせいぜい梅干かと思っていたのに……
小さく切ったウインナーや鰻の蒲焼や卵焼きなんかが入っている。
まるで宝探しみたい。
これは子供が喜ぶわ。
もちろん、私が一番喜んでいるのは、言うまでもないんだけど。

 

 

    元ネタはがばいばあちゃんから。先生が日の丸弁当と交換してくれたってお話です。
    イルカ先生なら作ってあげそうだな…と思って(笑)
    おにぎりって不思議。元気が出ます。イチロー選手も試合前に奥様のおにぎりを食されるとか。
    2日の遠足、長女のクラスで朝から自分でコンビニ弁当を買って持って来た子が居たらしい。
    なんだか、せつないです……

 


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