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宴 [SS]

本日の妄想:イルカ先生は敏腕鍋奉行。鉄板焼きも上手。お好み焼きもね♪
そろそろ世間様では今月末で退職される方の送別会とかお忙しくなりますね。

 

 

       ー宴ー

そもそも下拵えからして手際が良い。
烏賊を捌くのも海老の背綿を取るのも鶏肉を串に刺していくのも、誰よりも手早い。
ああ、こんな男性が旦那様だったら・・・

毎年、アカデミー卒業式と同時に退職する同僚の送別会は、梅園でバーベキューと決まっている。
最早、送別会なのか花見なのか親睦会なのか、その目的がわからなくなるほど盛り上がる。
幹事はイルカ先生とエビス先生。
ほんのりと明るい雪洞と梅の香りに包まれながら、宴は盛り上がっていく。
私は、くのいちクラスの同僚達と談笑しながらも、眼の端でイルカ先生を追う。
「ちゃんと食べていますか?」
海老数匹と野菜とお肉を取り皿に盛りながら、イルカ先生が尋ねてくれた。
鉄板を挟んでいたので笑いながら、ええ と頷く。
本当はイルカ先生の事が気になって、お箸がすすんでなかったけど。
だって、今日の主役の内の一人は昔イルカ先生が付き合ってた女性だって、同僚に聞いてたから。
イルカ先生はどんな気持ちなんだろ?元彼女が寿退職って・・・・
すると、イルカ先生が態々ぐるっと回って傍に来てお酌をしてくれた。
小さな声で礼を言う。
「遠慮してたら無くなっちまいますよ」
笑いながら海老の皮を剥いてふーふーしてるイルカさんの顔に朱が差している。
・・・・・・かなり呑んでらっしゃるのかしら?
「・・ハイ、あ~んして」
え?と思う間もなく反射的に口を開けてしまった。
ぱくっ もぐもぐ・・・
「旨い?」
「・・・・は、はい。美味しいです」
絶妙の塩加減でプリプリの海老が口の中で解けた。
ああ、今 私 イルカ先生に食べさせて貰った・・・!!
「じゃ、次、肉!」
また、ふーふーして食べさせてくれようとするので、今度は流石に遠慮した。
「・・・イルカ先生酔ってらっしゃるみたい・・・」
イルカ先生が朱い顔のまま真顔になる。
「あ、すみません。オレ酔ってますね、ハハハ」
乾いた笑いが胸を刺す。
急に申し訳なくなる。
あんなキツイ言い方しなければよかった。
「・・・じゃあ今度は私が食べさせてあげます」
イルカ先生が持つお皿からお肉をお箸でつまんでその口元に近づけた。
「ハイ、あ~んして下さい」
イルカ先生は緊張したような顔でぎこちなく口を開けた。
ぱくっ もぐもぐ・・・
頑丈そうな顎を上下させながら、鼻で大きく深呼吸している。
「・・・美味しいですか?」
「はい、旨いです」
やっとイルカ先生がいつもの笑顔で片笑窪を見せてくれた。
「オレ・・・」
「・・・・・・・?」
「オレ、鉄板焼きとか得意なんです。今度の休みウチに来て下さい。ご馳走しますから」
イルカ先生はそれだけ言うとビールでお肉を流し込んだようだった。
ポカンとして見上げてるとやたらと瞬きしてる。
「へ、返事は?」
「あ、はい、行きます。その節はよろしくお願いします」
イルカ先生は、じゃあまた連絡するよ と 片手をあげると鉄板の方へ戻って行った。
・・・・・嬉しく嬉しくて、雪洞が霞んで見えた。



                              春は出会いと別れの季節ですな・・・


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