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櫛 [SS]

本日の妄想:イルカさんはブラシではなく櫛で髪を梳く。櫛は2種類。
あまり使わない柘植の櫛と木の葉温泉に行った時に持ち帰った
使い捨てプラスチック製の櫛。専ら使うのはコレ。

最初の駄文「漆黒」の前のお話かな?
Oh !Asian Beauty・・・

 

                ― 櫛 ―



結ってる紐を解くとね、とても綺麗な髪なの。

コシのあるしっかりとしたそれでいてしなやかで癖の無い黒髪。

私のはちみつ色の巻き毛なんかと全然違う艶と輝き。

イルカさんの機嫌のいいときはいつまででも触らせてくれるの。

きっと、私にだけ。
私だけがイルカさんの髪を梳くことができる。

職員室の彼の机の引き出しにプラスチック製の櫛が入ってるのを知ってるのもきっと私だけ。


だけど、つい最近お泊りした時にみつけてしまった。

洗面所の引き出しにある使い込まれて飴色になった柘植の櫛。

ほとんど使うことが無い柘植の櫛。

時々、手に取ってじっと見ていることもある。


どうしたの?それ誰の?使わないの?使えばいいのに。私が梳いてあげるよ。

聞きたいけれど聞けない雰囲気。

とても大切なもの。
なにかとても神聖なもののような気がして。

 

お風呂から上がってきたイルカさんが櫛を手にして固まっている。

それを見た私も固まってしまう。

食事の後片付けの最中なのに。


ああ、やだ、もし、もしも、前の彼女のものだったら・・・
言いようの無い不安が頭をよぎる。

私の視線に気付いたイルカさんは櫛を元の引き出しに戻すと、
にっこり笑って私の髪をくしゃりと撫でてポンポンとする。

泣きそうになる。

私が持っていたお盆を手に取るとそのままキッチンへ入って行った。

お皿を洗う水道の音がザアザアうるさい。


キッチンの入り口に凭れて横顔を見上げた時、イルカさんの小さな声が聞こえた。

「お袋のなんだ。あの櫛で自分の髪を梳いた後、オレの髪も梳いて結ってくれてた」

きゅっと蛇口を捻って水を止めてこちらに向き直り、照れたように鼻疵を掻く。



「え・・・っと、もし・・ていうか、あの、髪を梳いてくれるなら、今度からアレ、使ってくれ」

イルカさんはいつでも私の気持ちを先回りしてくれる。


「うん、わかった。大切に扱います」



櫛も貴方の髪も貴方自身のことも。

 

 

 

 

柘植のとプラスチッ製のだと静電気が全然ちがいますよね!


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