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喉 [SS]

本日の妄想:イルカさんはタートルネックのセーターを『とっくり』と言う。
ふっかふかのセーターを着た逞しい胸に頬をすりすりしたいぞう。
イルカさんにタートルネックのセーターはお似合いかな?

 

   

 

                     ― 喉 ―

 

 

この1週間、冷たく乾いた風が吹き続けていた。

教室に掛かっている温湿計の湿度は20%を切っている。
じきに授業が終わる、もうすぐ会える。

イルカは軽く咳払いをした後に言った。
「今日の授業はここまで。明日はクナイの扱い方のテストをするぞ」
「ええ~!」
予想通りのブーイングにイルカは苦笑する。
「帰ったら、手洗いうがいをしっかりな!」
「はーい」 「さようならー」 「さようなら、先生」
子供達は口々に挨拶を交わしながら教室をあとにした。
「おう、また明日」
イルカは巻物を巻き直しながら返事をした。

誰もいなくなった教室で窓の鍵をかけているとガラリと扉が開いた。
勿論、チャクラで誰だかわかる。

「教室に来るなんて珍しいな」
「はい、今夜の約束、駄目になっちゃったんです。急な任務が入って」
「・・・そうか」
イルカは眉を下げて残念そうに呟いて、咳払いした。
「空気が乾燥して喉がイガイガしますよね」
「ああ、俺なんて一日中怒鳴ってるから余計酷いよ」
「・・・ジャーン!」
「?」
「開けてください。昨日、見かけて衝動買いしたの。イルカさんの気に入ると良いんですけど」
袋の中にはアイスブルーのタートルネック。
「・・・とっくりセーター?」
「ふふ、そうです。とっくり。 喉、温めたら少しはイガイガがマシですよ」
イルカは嬉しそうに笑いながら彼女を見下ろした。

「着てみてくださいよ」
「そうだな、こんな綺麗な色着たことないよ」
ベストだけ脱いでセーターを頭からかぶった時、彼女はこっそりと小さな結界を張った。
頭のしっぽを出すのと首のところを折るのを手伝って、その姿に見惚れた。
うん、素敵、やっぱりよく似合う。
「うわっ、ぬっくいなあ。・・・・どうかな?」

腕を広げてお披露目するイルカに、返事の代わりにその胸にダイブした。
どんと音がするほど思い切り抱きついて、柔らかな繊維とその奥の
固くて厚い胸板に頬を擦り付けた。
「お、おい!こんなとこで…」
「大丈夫、結界張ってますから。少しだけこのままでいさせて下さい」
すりすりして、大きく息を吸い込む。
新品の繊維の匂いとイルカの匂いで肺をいっぱいにした後、細く吐息をついた。
最初戸惑っていたイルカの腕は彼女をしっかり抱き寄せている。
「セーター、ありがとう。嬉しいよ・・・・任務、頑張れ」
「はい」
返事をして、眼を閉じてもう一度頬を擦り付ける。

イルカさん、と名前を呼んで ん? と顔が近づいた時を見計らって、
折り返したとっくり部分を広げて喉にきつく口付けた。
「?!!」
「へへっ、これで私が戻るまでとっくり脱げないですよ」



呆気に取られるイルカを置いて教室を飛び出した。
走りながら結界を解いて。




彼女は今夜 初めて、色の任務に就く。

 

 

    





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