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sing your life [SS]

sing me to sleep の イルカ視点。
イルカさんは何をしたのでしょう?

   

         ― sing your life ―

 

あいつが出立してから今日で半年と1週間と2日経つ。
そろそろ戻る頃かと毎日気持ちが浮き立つ。
無事でいるだろうか?
要請書には比較的平和な同盟国で後方支援と記してあったが。

そんな事を考えていると後ろから名前を呼ばれた。
「せーんせ、イルカ先生、初隊長任務成功のお祝いしてくれるって言ってたでしょ?ね、いつ?」
「あ、お前か、そうだったな、じゃ、このあとどうだ?甘栗甘か一楽で」
「えー?」
「いやなら、いいんだぞ」
「あたしはー、先生のおうちでー」
「却下」
絡められた腕を外す。
「ひっどーい」
この年頃の娘は苦手だ。
大人をなめてやがる。
風が一層強く吹きつける。
一瞬、火影邸の廊下の辺りから見知ったチャクラの乱れを感じた。
まさか・・な?
「悪い、用事思い出した」
「やだー、あたしもついてくー」

 

金魚の糞を従えたまま、受付へ向かう途中アンコさんに呼び止められて話を聞いた。
愛想の良いのが評判なのに無視するとは!
あいつ何処へ行こうってんだ? 
なのに腕にぶら下がったままの小娘が離れない。
こいつを先にどうにかしないと。
仕方なく甘栗甘で豆大福と番茶を食わせたあと、説教する。
「さ、お前も一人前のくのいちだ。オレに纏わりついてないでしっかり里のために任務をこなせ」
ブーイング、やっぱりな。
はっきり言わなきゃわかんないか。
「お前は恋に恋してるだけだ。それにな、オレ、真剣に好きな人がいるから、
お前がどんなに想ってくれたとしても答えられない」 
あ、泣いた。
その手には乗らないよ。
これだからこの年頃の娘は苦手なんだ。
「でも、先生は先生でしょ?」
「・・・いや、里を守る同志だ。だから甘えん坊は卒業だ。急ぐから先に行くけど、気をつけて帰るんだぞ」 
勘定をテーブルの上に置いて店を出る。

先程から降り始めた雨は徐々に激しくなり、一層の風を呼び嵐となった。

探し回る前に家に来て正解だった。
何してんだあいつ?
ドアに鍵が刺さったままだぞ。
どうぞお入りって言ってるようなもんじゃないか。

扉の向こうの光景に目を疑った。
走り寄って抱き起こす。
「お、おい!一体どうしたんだ?!」
行き倒れという言葉をそのまま表したかのような姿態。
びしょ濡れで脈も呼吸も速い。
「タオル、タオル、どこだ?ダオル」
落ち着けオレ。
心の中で詫びながら箪笥の中を探す。
そうだ、医療班に頼むべきか。
いや、長期任務は成功と聞いている。
なのに、里に戻った途端これだと知れて、自己管理がなってないと評価に響いたら可哀想だ。

押入れから布団を引っ張り出して覚悟を決める。
許せ!下心なんてないんだ。
いや、まったくないって事はないが。
とにかく邪な考えはないから許せ!

早くしないと、こいつ震えてるし咳も酷い。
タオルを何枚も用意して拭いて脱がせた傍から順に毛布をかけていく。
畜生!下着まで濡れちまってる。
目に飛び込む白い肌に狼狽しながらも「ええい」と思い切る。
嗚呼、今のオレ幸せなんだか不幸なんだか。 
ふとんを被せて少ししたら暖房が効いてきた。
脈も少し落ち着いてきた。
髪がまだ濡れたままなので枕元に座って拭いてやる。
髪、伸びたな、半年だものな。
あれ?なんだ?涙のあとか?
その頬に触れた瞬間
「う・・・ん」
と彼女が唸った。

「・・たって・・」
「え?」
「子守・・た・・う・・ったって」 
は?子守唄?
「寒い寒い・・の」
酷く咳き込みながらそう言う。
どうしろってんだ? 
「うえっふえ~んえ~ん」
泣くなよ、大人だろ。
「息苦しい・・ヴィックス塗って」 
はあ?嗚呼!もう畜生!
下着だけになって彼女の布団に潜り込んだ。
何だよ、何がそんな泣くほど辛いんだよ、任務地で怖い目に遭ったのか?
腕枕をして頭を抱き両脚の間に彼女を挟みこむ。
なめらかな肌を見ないように自戒する。
上がり際特有のの熱っぽい吐息が首筋にかかる。
嗚呼、イビキさん顔負けの拷問だ、頼むから鎮まれよオレ。

彼女が泣き止んだのを見計らって布団から出て薬箱を探す。
あったコレか、なに?塗るのか?む、む、胸に?
そ、それはちょっと無理だろうよ。
どうするよ?オレ?
そうだ唄歌って気を逸らそう。
再び彼女の布団に潜り込んで添い寝する。
子守唄ってえーっと。
知ってる子守唄を順に歌っていく。
浪曲子守唄や五木の子守唄、
それからそうだ、彼女の好きな異国の歌、asleepって永眠じゃねえか、縁起でもない。
でも仕方ない、歌いながらスプーン1杯分のジェルを指で取ると恐る恐るその胸に擦り込む。
長い睫毛を見つめながら。

   sing me to sleep, sing me to sleep. I'm tired, and dieing,
    I want to go to bed. sing me to sleep・・・, I'm down, leave me alone・・・


歌が終わってしまった、どうしよう、何か他所事を考えないと。
忍心得を壱から唱えながら更に擦り込む。
あ、きもちイイな柔らかいな、なんて駄目じゃないかオレ!
鎮まらないオレは布団から飛び出して、はあはあと息をつく。
駄目だこりゃ、頭冷やさないと。
そうだ、メシ作っといてやろう。
半年も留守だと何もないだろう。
忍服を着込むと商店街に食材を買いに走った。

集中して集中して雑炊を炊く。
出来上がって、彼女の枕元に運ぶ。
顔を覗き込むと先程より顔色が良くなっている。
心拍数も熱も下がったし。
良かった、大事には至らなかったようだ。

「ごめんなー、オレ、ちゃんと伝えてなかったもんな。具合が良くなったらきちんとするからな。
ほんとお前がいない間は毎日味気なくってさ、どんだけ逢いたかったか。大好きだよ、お前だけ」     
眠ってることをいいことに耳元で囁いた。
面と向かっては恥ずかしくて言えないことだけど、目が覚めて落ち着いたらきちんと伝えよう。
「・・・ちゃん」
名前で呼んだことなんてあまりないけど、愛おしさでチャン付けして呼んでしまう駄目なオレ。
でも、かわいいもんなー、仕方ねえや。
「・・・ちゃん、おーい、・・・ちゃん」
彼女がゆっくり目を覚ました。


きっと怒るだろな、怒られることしちまったからしょうがないや。

でも、許してくれるんならこの想いをきちんと伝えて、他の奴に取られないうちにオレのにしよう。

 

 

初イルカさん視点です。
アワアワするイルカさん楽しかったよ~(鬼畜な私)

 



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