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sing me to sleep [SS]

本日の妄想: イルカ先生は寝付かせるのが上手。
だって子供相手のお仕事ですものね。

絵本を読んだり子守唄を歌ったりヴェポラップを塗ったりしてくれたらうれしい~! 

 

 

         ― sing me to sleep,sing to me ―

 

里に戻るのは半年ぶりの風の強い日だった。

遠く寒い国での任務を終えて、想い人に会えるのを楽しみに報告書を提出する為
受付に行ったけど、今日は当番ではなかったようだ。
そのまま火影様の元へと報告に向かう。
「ご苦労じゃったな、2,3日休んで良いぞ」
火影様の労いに安堵の笑みが浮かぶ。
一礼して部屋を後にすると、長く溜息が漏れた。

低気圧が近づいているらしい。古傷の痛みで解るもの。
イルカさん何処にいるんだろ?
早く会いたいな、何処を探そう?
アカデミー?一楽?
それとも家まで行ってみようかな?

長い廊下を窓の外を眺めつつ思案していると、結わえられた髪がピョコピョコ跳ねるのを見つけた。
胸が高鳴る。
瞬身で傍に降りたって驚かそうか・・・と思った瞬間、見慣れないくのいちが
イルカさんの背後から駆けてきて、当然のように腕を絡めた。
イルカさんはその娘に笑いかけている。 

全身の血が凍りついたようで声も出せない。
早く、早く、見つからないうちに!家路を急ぐ。   
途中で何度か誰かが声をかけてくれたようだったけど。
曇天から冷たい雨が落ちてきた。
叩きつけるような風雨は心までも冷やす。
雨が降って良かった、泣いてることが少しでも誤魔化せるもの。
忍なのに泣くなんてね。

何も約束なんてしなかったもの。
そもそもお互い告白すらしていないから。
待っているとか何とかそういうのは何もなかった。
時々食事に誘ってくれたり、休みが合う日には弁当持参で出かけたりしてただけ。
何を期待してたんだろ、バカみたい。
出立する日も見送りにきてくれて嬉しかったけど、友情の篭った抱擁すらなく、
ただ頑張れ無事に帰れと励ましてくれただけ。

けれども、と思い出す。 

商店街を歩く時、人混みから庇うように腰や肩に回された腕の思わぬ強さとか、
資料室で手の届かない高い位置にある古書を取って渡してくれる瞬間の瞳の奥の熱だとか、
火影室や廊下、演習場、食堂、飲み会あらゆる場所で視線を感じて見遣ると目が合い、
嬉しそうに照れたように笑う仕草とか・・・・・。

 

指が悴んで鍵穴に鍵が入らない。
情けない、もうほんとに嫌になるほど情けない。
びしょ濡れで冷え切ってシャワーを浴びるべきなのは解っていたけど、
もうどうでもいいような気もしてそのまま玄関から入ってすぐのフローリングに蹲る。
早く会いたくて夜通し駆けて帰ってきたのにバカみたい。
浸み込んだ雨と溢れ出る涙で埃っぽかった床に染みが広がる。

若い娘だった。おそらく十代の中忍になりたての娘だろう。
そうよね、イルカさんだって男だもの。若い娘が言い寄ってくれば誰だって。
なんか、腹立ってきた。
いいわよ、私だって任務バリバリこなして若いツバメを・・・・

ホントに疲れた。
眠い。もう永眠したいくらい。
気が抜けたのか身体は重く目も開けられない。
そういえばお腹空いてたんだった。
もういいや。
乾いた咳を繰り返す。
寒い寒い寒い。任務地でもこんなに寒くなかったのに。
誰か子守唄を歌ってくれたら気持ちよく眠れるのに。

  sing me to sleep, sing me to sleep.  
  I don’t want to wake up for my own anymore. 
  sing to me, sing to me ・・・

やだ、ほんとに誰かが歌ってくれてる。
きっと夢ね。
しかも耳元で囁くように。
心地よい響きーまるでイルカさんの声みたい、なんて そんなわけないか。
寒いのも収まってきた。
なんだろ?不思議な感じ。人肌であっためて貰ってるような。
ひゅうひゅう鳴っていた気管もメンソールの爽やかな香りで癒される。
昔、風邪を引いた時にママが塗ってくれたことを思い出す。
今、胸の辺りで感じている手はママの手よりも大きいけど。
これで絵本でも読んで貰えたら最高・・・・・

浮き沈みする意識の狭間でうっそりと微笑む。
ああ、身体が重い。

・・・・・?
誰か本を読んでくれてる?
何のお話?
あれ?名前呼ばれてる?

 

良い匂い。
お出汁の匂いがする。
目、開けてみようかな・・・

 

目を開けるとイルカさんが心配そうに覗き込んでいた。
傍らのお盆には雑炊が湯気を立てている。

「ああ、良かった! 吃驚させるなよ」
そう言う目元には涙すら浮かんでいる。
「・・・イルカさん?どうして?」
「アンコさんから戻ったって聞いて、でも様子が変だったっていうから。
本当は直ぐに来たかったんだけど元教え子に捉まっちまってて。
そしたら鍵もドアに刺さったままだし、びしょ濡れで熱出してうわ言で歌えだの薬ぬれだのって・・・
とりあえず言われたとおりにしたけど」
イルカは鼻疵を掻きながら続けた
「いや、その、あれだ、言われたこと以外のこともしたけど」
「・・・・なにしたの?」
「あ、だって、ほら、そうしないと、な?大変なことになりそうだったから」

まず、深呼吸して自分の置かれた状況を落ち着いて分析してみよう。
悲しかったことは覚えている。
そう、逃げるように家に帰ったことも。
そしてその後は、誰かが歌ってくれて、お話を聞かせてくれて、そして・・・・・・・

えーっ?! 嘘!! ひやあああーと叫んで布団を頭から被った。
恥ずかしい、もう恥ずかしくて死にそうだ。
私、全裸じゃないの!
しかも胸の辺りがベタベタしてる、ってことはイルカさん、私の胸にあの薬塗ったんだ。
それより以前に脱がして拭いて布団に寝かして・・・。

嗚呼なんてこと!みんな夢じゃなかったなんて!

「っ!す、すまん!オレもう帰るから、気分が良くなったら雑炊温め直して食ってくれ、それじゃ」
「いやーっ!」
「え?」
布団から目だけ出して叫ぶ私に、イルカさんの動きが止まった。

「一人にしないでよ、半年ぶりに帰ったのに。もう真夜中だし、ここに居てよ。
それに私、病人らしいから雑炊もふうふうして食べさせてよ」 

もう全て見られたのだからこれ以上に恥ずかしい事なんてないような気がして、
勇気を出して言ったのだけど、それは子供の駄々のようだった。
きっと呆れられる。
けれどイルカさんは、この上なくやさしく微笑んだ。
「いいよ、気が済むまで傍に居てやるから、安心しな」
そう言うと私の髪をくしゃくしゃ撫で回した。

優しい手、この手でこの胸を触ったの?
そう思うと恥ずかしくなって憎まれ口をきいてしまう。

「でも服着たいからさっさとキッチンにでも行っててよ」

着替えながら、元教え子に嫉妬して勝手に勘違いしてこんな羽目になったことは黙っておこうと思った。
ある意味感謝してもいいかもね。
最悪なことは既に起こってしまった。


さあ、今夜、今夜こそすべてをはっきりさせましょう。

 

 

 

私、どんだけイルカさんにかまって欲しいんだろ、甘えたいんだろ
と思わずには居られない今日この頃です。 

 

 


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コメント 1

ねね


あっきいさん
コメントありがとうございますvv

あらあら、大変お疲れのご様子…
私もね、最初はカカシスキーのカカイラーでイルカは眼中になかったなあ;;
それがどうよ!このどっぷり浸かりようは!
そう、例えて言うならカカシは超豪華海鮮丼 イルカは白ご飯(爆)

お疲れのあっきいさんへイルカ先生から癒しのシュミレーション♪
「いつも頑張ってるの、知ってますよ。朝から晩まで気が抜けねえってどんなに大変かオレ、解ります。でも、一番大切にしないといけないのは貴女自身だから…さあ、ココア淹れたから飲んでください。…あはは、ほら、ほっとした顔になった…」

元気出ましたかーーっ!?(アントキノ猪木風)
by ねね (2008-06-04 15:09) 

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