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迎春 [SS]

本日の妄想:イルカさんは除夜の鐘が好き。
年越し蕎麦も初詣も好き。
かるたとりや羽根つき、独楽回しも得意。 
要するに、正月好き(笑)

  

             ― 迎春 ―

 

  二人で過ごす初めての大晦日。
 「ほら、遠慮しないでもう一杯・・」
  イルカさんが微笑みながらお酒を注いでくれる。
  頑張って作ったおせち料理のはみだしっこをアテにイルカさんが上機嫌なのは
 珍しく大晦日に休暇が取れたから。
  年越し蕎麦を戴いたあと除夜の鐘が聞こえてきた。
  あ、急がないと、ね。

  暖かくして、それでも夜中の空気はキンと冷えてるのでどちらからともなく寄り添って
 お寺の鐘をつく順番を待つ。
  他愛のない話をして新しい年が来るのを待つ。
  ごーんと余韻の残る音は一年の汚れや迷いを浄化してくれるよう。
  イルカさんが撞いた鐘の音は一層お腹の底に響くように思う私は、
  痘痕も笑窪と揶揄されるほどイルカさんの事が好きなのだと思う。

  振舞われたお神酒を飲んだ帰り道、ふとイルカさんが立ち止まった。
  「どうしたの?」
  いきなり両腕を回されてふわりと抱きしめられた。
  人通りは少ないけど、普段はこんな事する人じゃないもの。
 少し心配になる。
  「ね、どうしたの?気分悪いの?少し呑み過ぎた?」
  「いや・・・・もうちょっとこのまま・・」
  「・・・・うん」
  鼻先を埋められた肩と抱かれている背中が温かい。

  「ああー」
  暫くしてからイルカさんは赤い顔を上げて私を見た。
  「なんかオレ、すごいシアワセ。はははっ」
 笑窪を見せて笑う。
  うん、でも私の方がもっともっとシアワセですよ。
 ふふっ、だけどこれは言わずにおこう。
  私は手を伸ばしてイルカさんの額の後れ毛に触れる。
  以前はこんな風に触れることなんて夢のまた夢だった。

  一際長く余韻を残す鐘の音が鳴った。
  人々の新年を祝う言葉が心地良いざわめきとなって二人の元に届く。
  「あけましておめでとう。今年もよろしく」
  「あけましておめでとうございます。イルカさん、こちらこそよろしくお願いします」
  深々とお辞儀をし合って、手を繋いで歩き出す。
 イルカさんの家まであと少し。

 この一年、貴方に出逢えて良かった。
 新しい年を一緒に迎えられて、これほど嬉しいことはないです。
 どうか今年も善き年でありますように。
 沢山の人に幸福が訪れますように。

 家に着くなり、「さ、寝るぞ!」と物凄い勢いでパジャマに着替えだすイルカさん。
 吃驚してると「
 何してんだ?早く寝ろよ。ご来光拝みに東の森まで行くんだからな」 
 きゃあ、そうなんですか?それは早く眠らなければ!
 「で、午後からアカデミーでかるた取りやるから、お前もな・・・」
 欠伸交じりでイルカさんはそう言うとにっこり笑っておやすみのキスをしてくれた。

 ああ、ラブラブはお預けね。
 でも明日からも楽しいことがいっぱいありそうだからま、いいわ。

 

よごさまに捧げます。今年はお世話になりました。
来年もどうぞよろしくお願いします。

 

 


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